目次

[1]「藤田監督を甲子園に連れて行こう」
[2]エース森をみんなで盛り立てた



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大阪桐蔭、花巻東などが属するブロック
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 今年のセンバツで春夏通算20回目の甲子園出場となる兵庫県の名門・東洋大姫路。1977年夏には全国制覇の実績があり、元メジャーリーガーの長谷川 滋利投手や原 樹理投手(ヤクルト)、甲斐野 央投手(ソフトバンク)など多くの名選手を輩出してきた。

 今年度限りで藤田 明彦監督と三牧 一雅部長の勇退、4月から履正社で長年監督を務めた岡田 龍生監督の就任が決まっており、今回のセンバツは藤田監督の集大成としても注目を集めている。最後の花道を飾るべく、練習に励んできた彼らのこれまでの戦いぶりを振り返った。

「藤田監督を甲子園に連れて行こう」



主将の岡部 虎尉(東洋大姫路)

 藤田監督が2度目の就任となった2011年の夏に原を擁して甲子園8強入りを果たして以来、甲子園から遠ざかっていた東洋大姫路。この10年間の苦悩を藤田監督はこう振り返る。

「野球そのものを変えたわけではありません。子どもたちも決して野球に不真面目ではなく、一生懸命やってくれていました。たった数ヶ月に甲子園に行くことができて、そこで監督としての勝ち運みたいなものを使い切ってしまったんじゃないかと思っていました」

 昨夏は兵庫大会準々決勝で敗退。それから発足した新チームも「この10年で比較しますと、下の方です」と決して力のあるチームではないと藤田監督は感じていた。

 その中で強みにできると指揮官がいうのは、エース・森 健人投手(3年)の存在だ。2年春から公式戦の経験がある森を軸に、伝統の守り勝つ野球に舵を切ることを決めた。

東洋大姫路は守りというのが伝統なんです。それを原点に戻ってやり直そうかなと思いました」(藤田監督)

 21世紀に入ってからの東洋大姫路を見ても03年春のグエン・トラン・フォク・アン投手、06年夏の乾 真大投手(元日本ハム、巨人)、11年夏の原と好投手を中心とするチームが甲子園で8強入り以上を果たしている。今年のチームは森がいることで、そういった野球を再現できるチームだったのだ。

 そして、新チームが始まって1ヶ月近く経った8月中旬に藤田監督は3月末で監督を退くことを選手たちに伝えた。

 それを聞いた主将の岡部 虎尉内野手(3年)は「全く知らなかったので、驚きました」というが、これを機に「藤田監督を甲子園に連れて行こう」とチームに一体感が生まれた。

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