Column

強豪私学の好投手を討つ 21世紀枠推薦校・畝傍、悲願の甲子園初出場に向けて【後編】

2020.12.10

 秋の奈良大会で3位となり、来春のセンバツの21世紀枠推薦校に選ばれた畝傍(うねび)。県内有数の進学校で、昨年度は現役浪人併せて京大に6人、阪大に30人の現役合格者を輩出した。野球部も阪大、神大、大阪市立大など難関国公立で野球を続ける選手が多く、文武両道を実践している。

 いかにして勉強と野球を両立しているのだろうか。そのヒントを探るべく、取材に伺った。

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強豪・奈良大付撃破!文武両道を実践する畝傍(うねび)のコンパクトな練習【前編】

強豪校ひしめく奈良を勝ち抜くカギは、チームワークと守備力の強化

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素振りをする選手たち(畝傍)

 対外試合が禁止となる12月に入り、これからは春以降に向けて個々の能力を上げていく時期となる。奈良県は天理智辯学園奈良大附と私立の強豪がひしめいており、夏の甲子園に出場するためにはこうした学校に勝っていかなければならない。そのためにこの冬は筋力と敏捷性の向上に力を入れている。だが、駒井監督がそれ以上に重視しているのがチームワークだ。

 「いつも思いやりを持って強いつながりをもったどこにも負けないチームワークを作ることを望んでいます。助け合いながらも厳しさも忘れずにやってほしいです」

 この日は暗くなった17時以降にハンマーやタイヤを使ったトレーニングを行っていたが、選手同士で声をかけ合いながら明るい雰囲気で取り組んでいたのが印象的だった。厳しい練習の中にも楽しさを見出せるのも畝傍の強さの一つである。

 技術面での課題としては守備面の強化を挙げている。秋は準々決勝の桜井戦、3位決定戦の奈良大附戦で9回二死から失策で走者を出すなど、失策の多さが目立ったという。本来は捕手・根来、遊撃手・和田、中堅手・若松のセンターラインを中心に守り勝つ野球が信条。そこに磨きをかけた上で、天理の達や智辯学園西村 王雅(2年)といった好投手を打ち崩せるように打力向上にも力を入れていく考えだ。

[page_break:基本に忠実なプレーを重ねて、まだ見ぬ舞台へ]

基本に忠実なプレーを重ねて、まだ見ぬ舞台へ

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太田 佑音

 投手に目を向けると、秋はコーナーに投げ分ける投球が武器の濵﨑 恵太郎(2年)と緩急の使い方が上手い太田の二人が軸になっていた。それに加え、外野手の若松と永船 義知(1年)も投手の練習をしており、投手陣に厚みをもたらそうとしている。彼らが投手としても計算できるようになれば、心強い存在となりそうだ。

 チームとしてはセンバツに出場することを見越して練習を続けている。出場することになれば、春夏通じて初の甲子園だ。まだ見ぬ舞台での戦いについて駒井監督はこう語っている。

 「どうなるか心配していますが、とにかく自分たちの力を100%出し切ることが一番大事なところだと思います。結果に関係なく力を出し切れば、勝利が自分たちのところに来てくれるのかなと感じています」

 力を出し切れば、強豪相手にも勝てるのは秋の奈良大附戦で証明済み。甲子園でも面白い戦いを見せてくれるだろう。

 「ホームランを打ったり、三振をいっぱいとることはできないんですけど、基本に忠実なプレーをして、しっかりとした野球ができればと思います」と意気込む若松。まずは11日に吉報が届くかに注目だ。

(取材=馬場 遼

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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