ミレニアム世代のトッププロスペクト Vol.19 濱田太貴(明豊)「九州ナンバーワンスラッガー 不完全燃焼で夏を終える」
ミレニアム世代の逸材をトッププロスペクト方式で紹介。今回もドラフト候補としてハイパフォーマンスが期待される逸材を追っていく。
濱田太貴(明豊) 不完全燃焼で夏を終えた九州ナンバーワンスラッガー
九州No.1スラッガーに成長した濱田太貴(明豊)
今年の高校生スラッガーで技術ならばトップクラスという評価を受けていたのが、濱田太貴(明豊)だ。しかし最後の夏は大分大会準決勝敗退で終わった。4試合の打撃結果も、15打数4安打4打点に終わった。本塁打は1本もない。本人からすれば満足いかない成績だろう。今年の甲子園に出場する選手の中には5試合連続本塁打を放った金山昌平(創志学園)、石川大会で5本塁打を放った南保良太郎(星稜)がいる。
彼らはモノの見事に簡単に持って行った。なぜ濱田との差が出たのか。精神的な話になるかもしれないが、金山、南保には強引さがなかった。本人たちにとってはフルスイングをしているのだが、強引さがない。スムーズな腕の使い方でボールをコンタクトして、本塁打にすることができていた。だが、大分大会の濱田は2年夏と比べるとメカニズムがスムーズではなく、強引にボール球を打ちすぎていたことがあった。
そうすると、投手のプレッシャーは少しだけ楽になる。本塁打にならないギリギリのボールゾーンに攻めれば、リスクは低くなるからだ。
それでも抜群のヘッドスピードでヒットにしていた濱田。ただこれでは、濱田らしさを発揮できない。濱田は春季九州大会の談話で「相手投手に投げる球がないと思わせたい」と語っていた。実際に聖心ウルスラの148キロ右腕・戸郷翔征に対してはストレート、スライダーも難なく対応し、また関東遠征・霞ヶ浦戦のサヨナラホームランは誰も驚く強烈な本塁打だった。夏でも本塁打量産を期待させた。
しかしこの活躍を知って、マークが厳しくなったのだろう。濱田に対して、外角ギリギリに対しての勝負が多くなった。そして甘く入った球を仕留めきれず、大会を終えてしまった。ただこの1年で、外野守備は前後への打球の対応、スローイングは格段に良くなり、相手の隙をついて盗塁もできるようになった。少しずつ野球選手としての成長は見せている。
目指すは高卒プロ。現役中から木製バットの練習を続けてきた濱田。「木製バットでも金属と同じようにオーバーフェンスができます」とさらりという。濱田の実力はこんなものではない。
高い潜在能力が是非プロの舞台で発揮されることを期待したい。
文=河嶋宗一