令和最初の春を浜松商が16年ぶりに制す



令和最初の春を浜松商が16年ぶりに制した

 こうして、静岡県の中で昭和から平成の一時代を形成してきた伝統の3商業校である。
 学校の歴史としては浜松商静岡商がともに1899(明治32)年に前身が創立されている。創部は浜松商が1924(大正13)年で静岡商よりも少し古い。
 島田商は、両校にやや遅れて、1928(昭和3)年に創立しているが、9月には創部しており静岡商とほぼ同じ歴史がある。

 ただ、時代の流れとともに、静岡県内も常葉菊川東海大工東海大一が併合した東海大翔洋(現東海大静岡翔洋)はじめ、常葉大グループのもう一方の雄ともいえる常葉大橘などが台頭。さらには、静清工(現静清)や藤枝明誠日大三島に加えて加藤学園聖隷クリストファー飛龍浜松修学舎浜松開誠館磐田東などが台頭してきて、公立商勢は苦戦を強いられる状況が続いていた。

 しかし、令和となった2019年の春季県大会では浜松商が16年ぶりに優勝して東海地区大会に進出した。
 東海大会でも決勝まで進出して気を吐いた。さらに夏は、島田商沼津東掛川西浜松湖北藤枝明誠と下して準々決勝でもオイスカに10対六と所要利してベスト4に進出している。静岡商もベスト8だった。そして秋季県大会では静岡商御殿場西浜松西を下してベスト4。3位決定戦で聖隷クリストファーに6対3と勝利して3位校で東海地区大会進出を果たした3大会で、伝統の3商業のいずれかがベスト4以上に残ったことで、十分に復活の兆しを示した。

 その兆候は、2年前あたりからあった。2017年夏は浜松商がベスト4に進出してオールドファンを喜ばせた。そして、18年は島田商が春はベスト4、夏は決勝進出を果たしていた。こうした平成末期の実績が令和につながったと言ってもいいであろう。

 こうして静岡県の高校野球は、静岡が先頭を走って引っ張っているという構図は変わらないが、有力私学が群雄割拠となっていく中で、静岡商「SEISHO」浜松商「HAMASHO」島田商「島 商」のユニフォームも確かな存在を示してきているのだ。

文=手束 仁

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