Column

野球塾から発展した新チーム・ヤングROOTS(ルーツ) 魅力は海外5ヵ国から得たエッセンス【前編】

2019.05.27

 2019年2月、神奈川県藤沢市に新たな中学野球チームが誕生した。そのチームが、ヤングROOTS(ヤングルーツ)だ。
 元プロ野球選手の養父鐵氏が代表を務めるヤングROOTSは、何と元々はルーツ・ベースボールアカデミーという名の野球塾であったが、中学野球のチームとしてやって欲しいといった要望を多く受けて、今回チーム設立に至った。

 今回は、代表の養父氏の経歴を踏まえながら、ヤングROOTS設立までの経緯、そしてチームの方針について語っていただいた。

波乱万丈の選手人生から得た経験を次の世代の選手たちに

野球塾から発展した新チーム・ヤングROOTS(ルーツ) 魅力は海外5ヵ国から得たエッセンス【前編】 | 高校野球ドットコム
ルーツの練習場

 「野球を辞めた後は。不動産業をやっていました。不動産業も奥が深かったのですが、やっぱり自分でなければできないことやりたいと思うようになり、これまで経験を活かして野球のアカデミーやチームを作っていこうと思いました」

 そう語るのは、ヤングROOTS代表の養父鐵氏だ。
 2010年に野球塾である、ルーツ・ベースボールアカデミーを設立した養父氏の「ルーツ」は、波乱万丈に満ちている。

 亜細亜大学を卒業、プロ入りを目指して日産自動車に入社した養父氏だが、NPBのドラフト指名が叶わずに台湾リーグのチームへと飛び込んだ。
 台湾リーグでは、月間MVP3回、台湾シリーズMVPなど、各賞を総なめにして、1年後には念願のNPB球団の福岡ダイエーホークスへ入団を果たす。

 だが腰を痛めた影響もあり、わずか1年で戦力外通告を受けてダイエーを退団。
 それでも養父氏は選手としての活躍を諦めきれずに、メジャーリーグの舞台を目指して渡米。シカゴホワイトソックス3Aに入団するも、海外の地で悪戦苦闘を重ね、その後はベネズエラやメキシコなど世界5か国でプレーした。

野球塾から発展した新チーム・ヤングROOTS(ルーツ) 魅力は海外5ヵ国から得たエッセンス【前編】 | 高校野球ドットコム
ROOTSの指導者陣、左が代表の養父鐵氏

 養父氏は、当時の心境を次のように振り返る。
 「まだやれると思っていて、自信もあったので、不安も特にありませんでした。結果を出さなければクビになるので、その場その場でしっかり結果を残すことだけを考えていましたね」

 引退後、不動産業を経てルーツ・ベースボールアカデミーを立ち上げた養父氏であるが、この「ルーツ」の名前には、養父氏ならではの思いが込められている。

 「日本、アメリカ、台湾、メキシコ、ベネズエラでの野球のルーツをたどってきて、感じたことを子供たちに話して、成長に少しでもプラスになる事があれば思い、この名前にしました」

[page_break:練習メニューはトレーナーと相談して基礎体力のトレーニングが中心]

練習メニューはトレーナーと相談して基礎体力のトレーニングが中心

野球塾から発展した新チーム・ヤングROOTS(ルーツ) 魅力は海外5ヵ国から得たエッセンス【前編】 | 高校野球ドットコム
トレーニングを行うヤングROOTSの選手たち

 そんな養父氏の指導方針は、ルーツ・ベースボールアカデミーから一貫している。選手の体の成長を最優先に考え、体づくりや体力作りを目的としたメニューを組んでいることだ。
 また、そのメニューも全て、チーム専属のトレーナーと相談した上で考えられたもので、選手たちを怪我から守り、将来への基礎を作り上げる体制が整っているのだ。

 「やりすぎは駄目ですが、ある程度の基礎体力がないと怪我をしますし、体の成長も人によって変わってきます。できること、できないことの、見極めをして、体の準備ができてきてから投げさせていきたいと思っています」

 専属のトレーナー置いているのも、体のことは体のスペシャリストに聞くべきだという養父氏の考えからだ。中学生くらいの年齢だと技術に走りがちになるが、そこにストップをかけて、体の基礎があっての技術であることをしっかりと伝えていく役割をトレーナーが担っているのだ。

野球塾から発展した新チーム・ヤングROOTS(ルーツ) 魅力は海外5ヵ国から得たエッセンス【前編】 | 高校野球ドットコム
ROOTSの選手たち

 「僕もプロ野球を経験してるので、見れば少しは分かりますが、やっぱりトレーナーの方が確実に伝えてもらえるなと思うので、そこは分業制にしています」

 養父氏の指導方法は、OBからもとても好評だ。ルーツ・ベースボールアカデミーのOBで、今春から神奈川県内の強豪校へ進学した選手に話を伺うと、ルーツ・ベースボールアカデミーで鍛えた基礎が、高校野球でのスタートダッシュに繋がったと語った。

 「高校の練習は、まずトレーニングや基礎的技術練習から始まるのですが、基礎はここで作ってもらっていたので、ルーツででやったことが活かせているなと感じています。
 ここでは、一人ひとり丁寧に教えてくれますし、悪いところはすぐ気づいて教えてくれるので、自分のレベルアップとしてはすごくいいところだと思います。機会があれば、まず見に来て欲しいなと思います」

(取材・栗崎 祐太朗

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.05.03

【滋賀】近江、滋賀学園などが夏のシード権をかけた準々決勝へ!<春季県大会>

2024.05.03

目指すは世界一!代表候補の座を射止めた6人の逸材たち

2024.05.03

【埼玉】春日部共栄の「反撃」なるか、5年ぶりの関東切符狙う<春季県大会>

2024.05.03

【春季埼玉県大会】花咲徳栄、投手陣の底上げに成功!中学時代から注目された左腕コンビの活躍でベスト4へ

2024.05.03

【春季埼玉県大会】山村学園の打線が爆発!エース西川も好投!立教新座を一蹴し準決勝進出!

2024.04.29

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.28

【滋賀】滋賀学園、彦根総合が初戦を突破<春季県大会>

2024.04.29

【福井】福井工大福井、丹生、坂井、美方が8強入り<春季県大会>

2024.04.28

【静岡】藤枝明誠、日大三島、浜松開誠館、静岡などが8強入り<春季県大会>

2024.04.28

【岡山】関西が創志学園に0封勝ちして4強入り<春季県大会>

2024.04.22

【春季愛知県大会】中部大春日丘がビッグイニングで流れを引き寄せ、豊橋中央を退ける

2024.04.21

【愛知】愛工大名電が東邦に敗れ、夏ノーシードに!シード校が決定<春季大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.21

【兵庫】須磨翔風がコールドで8強入り<春季県大会>

2024.04.22

【鳥取】昨年秋と同じく、米子松蔭と鳥取城北が決勝へ<春季県大会>