沖縄を皮切りに、2025年も高校野球の季節がやってきた。8月5日に開幕予定の夏の甲子園を目指して、全国各地の球児たちがここまでの野球人生のすべてをぶつける。この夏の主役になろうとしている選手たちの「今」を各チームの指揮官に迫った。

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神宮大会準優勝、センバツ8強という結果を残す広島商。名門・広陵、ライバルである広島新庄など、今年の広島も熱い戦いが期待される。

その広島から甲子園を目指す神辺旭は、2023年のセンバツにおいて21世紀枠の最終候補にも挙がったことを覚えている人もいるだろう。工夫を凝らした練習などが話題になったが、残念ながら選出されず。

この春も2回戦で盈進に敗れ、シード権の獲得には至らなかった。先日の抽選により、初戦の相手は呉工に決定した。ノーシードから甲子園を目指し、仕上げの段階にある神辺旭の現在を指揮官・高橋良輔監督に聞いた。

投打、精神的な柱となる4人で勝ち上がる

Q.春季大会でのチームの成果について教えてください。

初戦もそうでしたが、2戦目の盈進さんとの試合は3対10で敗れました。ただ振り返ると「スコアほどの力の差はない。勿体ない試合だ」という風に感じます。ヒット11本を出して、バントもしっかり決めてくれた。なのに、あと1本を出せずに3点だけ。逆にタイムリーエラーが2つ、2死から四球を出すなど、相手有利の状況にしてしまいました。

旧チームは上級生中心でしたので、経験値の少なさが原因かわからないですが、力みが生まれているのか。技術が足りていないのか。それとも相手を意識しすぎたのかわかりませんが、安定して戦うためにもメンタル的なところが必要だということが見えてきました。

Q.夏へ向けて、チームが取り組んでいることは?

メンタルを鍛えるのにゲーム要素ではありませんが、連続してバントを決めたり、ノックを受けたり。実戦形式でも満塁の2ストライク3ボールから始めるなど、練習から厳しい状況を想定して、結果を出せるように練習しています。

あとは年間通してやっているトレーニングです。実は先輩たちに比べると、フィジカルは物足りないところがあるので、いまも一生懸命やってくれています。

Q.夏の大会でのキープレーヤーを教えてください。

まずは投手陣ですと、小林穂高です。最速145キロを投げられる能力があって、自主練習も朝6時から取り組むくらい一生懸命な選手です。力みが出てしまうなどメンタルコントロールの部分に課題がありますが、春季大会の経験は夏に向けて大きかったと思います。

野手であればセンターを守る片山 陽斗、坂本大志の2人です。片山はマウンドに上がれば140キロを投げられる能力があって、坂本は2番打者ですが、色んなことが出来る選手です。この投打の柱に加えて、精神的支柱である主将・内樋 暖を加えた4人が夏のカギを握ると期待しております。

Q.最後に夏の大会に向けての思いを教えてください。

この1年、選手たちの中には、本当に朝早くから夜遅くまで自主練習をやるような生徒もいました。特に土日になれば自主練習を沢山やっている姿を見ていましたので、夏は結果を出したいと思っています。

たしかにフィジカルは先輩たちに比べると課題がありますが、その代わりにやれることがはっきり決まっています。ですので、背伸びをすることなく出来ることだけ、やるべきことだけに集中して戦うことが出来ます。ですので、粘り強く戦っていきたいと思います。