2度の大病、そして右肩の故障
右肘の故障が癒えた入社2年目の2016年。今度は大病が襲った。これまでは右肘など、野球に関連する故障での離脱であったが、野球とは無関係の病気での離脱は初めての経験となった。約1カ月間、入院生活を強いられ、この年もマウンドに上がることができなかった。ドラフト指名が解禁される2017年には、さらなる大病に見舞われる。2017年もほとんど野球ができない状態にあったという。
「野球をしに来ているのに、何をしているのだろうかという葛藤はありました」と苦悩を明かす。
病を克服し、懸命なリハビリを経て、2018年の中旬にようやくチームに復帰。毎年2月から行われる沖縄キャンプでは実戦登板を行うなど、順調な回復ぶりを見せた。復帰を聞きつけたある球団スカウトからは150キロを出したら、ドラフト指名も考えると声をかけてもらったという。
「正直、入社2年目以降はプロ入りなど考えられない状態でしたが、そんな自分に野球をやる上での目標をくれたスカウトに感謝しかないですね」
しかし、今度は右肩が悲鳴をあげた。
「やっと野球ができるという中でしたので、心が折れかけました。それでも、社会人野球もシビアな世界で毎年クビになる選手が出る中、残してもらっていたので、自分ができることを精一杯やろうと思いました」
2019年はスコアラーやビデオ係など、裏方として帯同し、チームを支えた。そして、同年限りで引退が発表される。社会人野球に進んで5年、現役生活に幕が閉じた。
心に刻まれている門馬監督の教え
「今まで野球をさせていただいて温かく応援してくれていた職場に恩返しがしたく、2年以上は同じ三重で働きました」
社会人野球を勇退した選手は、会社を離れる人もいるが、しばらくは三重に残り、社業に没頭したという。Honda鈴鹿OBの先輩方と中学野球の『三重関シニア』のコーチとして指導者をしていた。現在は関東へ戻り、会社員として過ごしている。
「たまに草野球に呼ばれたりしますが、130キロも出ないですし、次の日は肩が上がらないです(苦笑)」と現在の状況を明かす。
プロ野球界では東海大相模出身の選手が多く活躍している。吉田 凌(オリックス‐ロッテ)は2024年限りでNPBを引退したが、小笠原 慎之介(現ナショナルズ)、豊田 寛(現阪神)など、1学年下の後輩も現役で活躍中。
「東海大相模、ホンダ鈴鹿では野球だけでなく、一人の人間としてもたくさんのことを学びました。特に相模の門馬監督から言われた『Aggressive Baseball』は今でも生きています」
佐藤もフィールドは異なるが、東海大相模の教えを胸に、日々奮闘している。
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