センバツベスト4の浦和実の躍進により盛り上がる埼玉県。この夏、全国的な活躍が期待されるのが浦和学院だ。投手は140キロ左腕・岡部 修弥投手を筆頭に、好投手が揃い、野手ではプロ志望のスラッガー・藤井 健翔内野手、1年生からレギュラーだった西田 瞬内野手など野手の人材も揃い、選手層の厚さは同じ関東でも横浜、健大高崎に並ぶ。昨秋からチームの評価は高かったが、惜しくもセンバツ出場はならなかった。森大監督はピークを夏に持っていくためのチーム作りを進めてきた。
未完成のまま強豪との対戦が続き、センバツを逃す
浦和学院は2年前の23年夏に甲子園出場したが、昨年は春から秋にかけて一度も準々決勝進出がなかった森監督は「浦和学院は厳しいと言われていた年でも、県では決勝、もしくは準決勝まで進んでいましたが、ここまで勝ち進めなかったのはあまり記憶にない事態でした」と振り返る。
選手がいなかったわけではない。Hondaに進んだ三井 雄心内野手、東洋大進学の本格派右腕・鈴木 由馬投手、下級生には巧打者の西田など戦力は揃っていた。森監督は「昨年は勝つためのチームの熟成がうまくいかなかった。また、秋に関しては、勝ちながらチームを育てる期間です。しかし昨秋の県大会は強豪相手が続いてしまいまして、それもできなかった」とチーム作りの難しさを語った。
昨秋は上尾、川越東、花咲徳栄と実力校との対戦が続いた。「毎試合が決勝」と森監督が評したように、息が抜けない戦いが続き、最も実戦力が高い岡部に頼ることになった。埼玉の秋季県大会は試合日程が短く、7日間で4試合を行った。準々決勝の浦和実戦では岡部を先発回避した結果、控え投手が打たれ、劣勢の試合展開に。そして左腕・石戸 颯汰投手(3年)に完封負けを喫し、準々決勝敗退。センバツを逃した。
森監督は「石戸くんは素晴らしかったですし、コントロールが抜群で、伸びもあった。パワーのある打者は揃っていても、ああいうレベルの高い左腕を攻略する技術はなかったですね」と語るように、県準々決勝で打線の対応力が未完成のまま石戸と当たったのは不運だった。
浦和学院は実戦力不足、投手層の薄さの課題を抱えたまま、冬の練習に突入した。