自慢の強力打線は好投手相手にも威力を発揮

 自慢の強力打線はさらにパワーアップしている。森監督は今年の打線について、選抜ベスト4入りした22年のチームと比較してこう語った。

「潜在能力については、22年より上です。ただ、22年は対応力が高く、野球センスも高い選手が多かった。その点、今年の選手たちは対応力が課題で、秋の時点では完成しないと思っていました。浦和実・石戸くんを打てなかったのはある意味仕方なかったと思います。夏にどれだけピークを持っていくことができるか。選手たちには夏と伝えています」

 打撃陣はさっそく春の練習試合から強打を発揮している。3月中旬に行われた関西遠征では、智弁和歌山のエース・渡邉颯人投手から6得点。ほかの関西の強豪相手にも強打を発揮し、大阪桐蔭には1対1の引き分けだった。

 打線の柱は西田と藤井の2人。西田は1年夏の甲子園で4番に座り、3月下旬の時点で高校通算10本塁打を記録する右の中距離打者だ。バットコントロールも優れ、渡邉からは2安打を打った。西田は「冬に取り組んだことが春の練習試合で成果として出ています。すごく良い感じです」とチームの打撃力成長に手応えを感じている。

 藤井は2年秋まで空振りが目立ったが、だんだん対応力が高まり、センバツ出場の智弁和歌山戦、市和歌山戦ではともに2安打を記録。龍谷大平安戦では本塁打を放ち、3月の時点で高校通算24本塁打をマークしている。藤井は「だいぶ良い感じでボールが見えていて、良い感じで大会に入れそうです」と笑顔で語った。打撃に集中できるのは守備力の上達も影響している。昨年は守備力が課題となって、夏はベンチを外れた。その悔しさとプロ入りを目指して、この冬は守備をメインに取り組んできた。上達が見え、難しい打球も処理できており、スカウトたちの評価も上がっている。

 強肩巧打の捕手・落合 隼飛捕手(3年)は攻守の要。西田、藤井とともに上位打線を打つのは左の強打者・垣内 凌外野手(3年)だ。センターで起用される鈴木 謙心外野手(2年)は森監督が高評価する打撃センスが持ち味の左打者で、練習試合でも快音を響かせてきた。

 投手、野手ともに伸びてきており、森監督は「良い形で大会に臨めます」と手応えを感じている。

 昨秋に戦った浦和実がセンバツベスト4入りしたのは浦和学院ナインにとって大きな刺激となった。主将の西田は「とてもクレバーなチーム。エース・石戸くんのメリハリがついた投球は投手陣が学ばないといけないぐらい秀逸。また守備もきめ細かいし、打線も力強い。考えた野球ができていて、とても手強いチームになっています」とリスペクトしながらも、対抗心を燃やす。

「秋に浦和実に負けて、県大会は負けたくない気持ちがあります。春では必ず優勝すること。関東大会に進んで、夏につながる大会にしたいです」

 センバツで浦和実が大会の主役となったが、2年ぶりの夏の甲子園出場を目指すこの夏は浦和学院が主役となる。