沖縄を皮切りに、2025年も高校野球の季節がやってきた。8月5日に開幕予定の夏の甲子園を目指して、全国各地の球児たちがここまでの野球人生のすべてをぶつける。この夏の主役になろうとしている選手たちの「今」を各チームの指揮官に迫った。
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春季栃木県大会は、佐野日大が制した。しかし、その結果と同じくらい強烈なインパクトを残したのはベスト8入りを果たした幸福の科学学園だろう。
元中日のドミンゴ・グスマン投手の息子であるエミール・セラーノ・プレンサ。そしてユニオール・エルイン・ヌニエス・ジャケスの2人のドミニカ人留学生をはじめとした活躍があって、準々決勝まで勝ち上がった。スカウトもチェックする逸材ということもあり、注目度が急上昇した。
もちろん夏はマークされるチームだ。そんな重圧をどう振り切ろうとしているのか。指揮官・棚橋誠一郎監督の言葉から迫った。
サムライ野球で頂点を目指す
Q.春季大会でのチームの成果について教えてください。
選手たちには普段から「守り抜く野球をやろう」ということをテーマにして戦うことを伝えてきました。ですが、春季大会は想像以上に打撃が良かったので、ベスト8という結果が出たと思います。
たしかに3月の練習試合で強豪校と対戦しても、打ち勝つなど互角の試合を演じることがありました。ですので、手ごたえはありましたけど、公式戦は別物。そう思っていたのですが、公式戦になっても変わらずに機能してくれて、結果を残すことが出来た。改めてメンタルが重要であることは痛感させられましたが、一方で準々決勝では投内連携、カバーリングなど見えないミス。記録に残らないミスが多く、失点に繋がってしまいました。その点で、「ベスト8以降はそういう細かいところをしっかりやることが大切だ」と感じています。
Q.夏へ向けて、チームが取り組んでいることは?
準々決勝で出た細かいミスを無くせるように、普段から繰り返し練習するようにしています。ただ何よりも体力です。3回戦と準々決勝の間が2日間しかなくて、選手たちがそういったスケジュールを経験していなかったので、心身ともに強さがありませんでした。
夏の大会も同様に過密日程ですので、主力については練習試合にどんどん使って戦いながら心身を鍛えています。また冬場に取り組んでいたベースランニングを継続するなど、練習でも工夫をしています。
Q.夏の大会でのキープレーヤーを教えてください。
エースで主軸の田中悠太郎は口数が少ないものの、気持ちが強い昭和のような主将ですが、熊本から来てくれているので、覚悟が違います。ですので、この夏も期待ですが、一番はエミール(セラーノ・プレンサ)、ユニオール(エルイン・ヌニエス・ジャケス)のドミニカ人の2人です。
エミールについては投手経験1年未満ですが、元々身体能力が非常に高い。ですので、現在、土日の練習試合のなかで制球力やマウンド捌きも徐々に慣れてきたと感じています。完投もさせてみようと考えていますので、夏までの1か月でどれだけ伸びるかなと感じています。
ユニオールも捕手転向が1年未満ですけど、試合の流れを素早く感じ取れる。その感覚が速いので、信頼してキャッチャーを任せることが出来ます。
そして何よりも春季大会を経験して日本の高校野球、トーナメントというものを感じ取れたと思います。それと同時に一気に注目されたことで、夏の大会ではこれまで経験したことのないプレッシャーを感じると思います。これまでは日程的にも楽なスケジュールで迎えていましたが、夏はシード校ですので、当然マークは厳しくなると思います。
しかし私はこの夏の大会が分岐点になると思っていますし、彼らも将来の夢であるプロ野球選手になるために、力を発揮しないといけないことは自覚してくれたと思います。ですので、どう対処して結果を残すか。そこが課題ですので、指導する私は責任がありますし、同時にどんな成長をしてくれるか楽しみでもあります。
Q.最後に夏の大会に向けての思いを教えてください。
うちの野球は、サムライ野球。潔くプレーしよう、ということを掲げています。栃木の場合は優勝まで6連勝しないといけません。そのなかでも後半3試合、ベスト8以降は厳しい戦いになりますが、一戦必勝で戦う。ジタバタせずに正々堂々と1試合ずつ戦って、確実に階段を上っていく。そのために必要な体力を練習の中で身につけて、夏の大会には準備万端で臨みたいと思います。
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