強烈ライナー3安打! 西村幸盛(阿南光)が実践した”飛ばないバット”攻略法【センバツ輝きを放った逸材たち】
西村 幸盛(阿南光)
<第96回選抜高校野球大会:阿南光11-4豊川>◇19日◇1回戦◇甲子園
阿南光(徳島)の10安打11得点での初戦突破をもたらしたのは、まぎれもなく2番打者だった。2番一塁でスタメン出場した西村 幸盛内野手(3年)が4打数3安打4打点の大活躍。1回、2回、9回と得点を挙げたイニングすべてで安打をマークした。
1回は中前へ強烈なライナー性の打球を放った。豊川のモイセエフ ニキータ外野手(3年)が思わず目測を誤り、ワンバウンド後の打球を後ろにそらすほどだった。無死二、三塁のチャンスを作り、内野ゴロ2本での2点先制の足がかりをつくった。
2回は2死満塁から左越えへ強烈なライナー性の打球を放ち、走者一掃の3点適時二塁打となった。9回は先頭打者として右前安打を放ち、6得点のビッグイニングの火付け役となった。
すべてに共通しているのは、ライナー性の打球だったことだ。いまでは珍しくなった、やや上半身をかがめる「クラウチングスタイル」で構える。そこから鋭いスイングで強い打球を放っていた。本人も「この冬はライナー性を打つことを心掛けて練習をしてきた」と、成果を見事に発揮している。
新基準の飛ばないバットでは芯に当てることが要求される。クラウチングスタイルで目線を下げ、球を見やすくして芯に当ててライナーを打つことが、ヒットの近道だといわんばかりだ。大きく構えてフルスイングする打者が多くなった今の時代のなか、コンパクトスイングに徹しているが、ライナー性を打つことで方向によっては長打が生まれる結果にもなっている。
昨年の秋の公式戦では、従来のバットで打率.441を打っていた。それでも飛ばないバットへの対応をしっかりした西村の努力が、センバツで花開いた。
172センチ、67キロ。小柄の部類に入るヒットメーカーの好きな選手は、最多安打のタイトルを獲得したことのあるソフトバンクの中村 晃外野手(帝京出身)だという。2回戦以降も西村のバットから安打が生まれるに違いない。
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