DeNAのファーム盗塁王・村川凪が無念の肉離れ離脱! 背景にあるのは「育成選手ならではの重圧 」!?
徳島インディゴソックス時代の村川凪
第2クールに突入し始めたNPBキャンプ。すでに1、2軍の入れ替えが行われ、故障による離脱もあり、サバイバルレースは早くも過熱している。
横浜DeNAでも、育成選手ながら1軍キャンプに参加していた村川凪外野手(如水館出身)が4日に離脱。左ハムストリングの肉離れとのことである。
村川は2021年育成1位で入団したスピードスター。昨年のイースタンリーグ・盗塁王である。昨秋ドラフトで史上最多6名の同指名で話題を呼んだ、四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスの出身でもある。
2023年シーズン、DeNAは12球団最少のチーム33盗塁に終わったおり、50メートル走5.5秒の脚力を持つ村川に着目。1軍に招集した。村川自身、初の1軍キャンプだったことを考えれば、「悔しい」の一言に尽きるだろう。
今回の村川の離脱について、元横浜DeNAの冨田 康祐氏に話を聞いた。冨田氏はPL学園・青山学院大で投手として活躍後、四国IL・香川オリーブガイナーズに入団。2011年の育成ドラフト1位でDeNAに指名を受け、3年間NPBでプレーした。その後もオーストラリアやメキシコといった海外で活躍し、2016年に引退した投手である。
「村川選手は育成ですからね。育成選手にとって、1軍キャンプは支配下登録の大チャンス。多少のケガなら『ちょっと痛いです』とは言いだしにくい。むしろ『アピールしてやるぞ』と意気込んで参加すると思うんです。
私も同じような経験があります。育成2年目に支配下に昇格したんですが、じつはそのときヒジに痛みを抱えている状態だったんです。でも誰にも言えなかった。昇格は6月。その年の支配下登録の期限まで1ヵ月というタイミングだったからです。『ここでケガを申告したら、支配下のチャンスは途切れてしまう』と思ったんです。だから『痛いと言っている場合ではない』と言い聞かせて投げ続けました。結果的にその年のオフにクリーニング手術をしています。あのときの判断が正しかったかどうか、それはわかりません。
村川選手の離脱の速さから考えると、もしかしたら不安を抱えながら、キャンプに参加していたかもしれないですね」
育成選手にかかる重圧や支配下登録への思いはとてつもないものがあると冨田氏は言う。
「育成出身選手というのは、何か一芸に秀でていないと(活躍が)難しい立場なんです。自分の強みを理解してアピールしないといけないんです。私の場合はストレートで勝負できる部分をアピールして支配下につなげました。
また、育成選手は本指名の選手に比べて、与えられるチャンスが少ないんです。限られたチャンスでどう結果を出すか。キャンプの紅白戦や対外試合1つ1つが勝負の場になってくるんですよね」
今回のケガにで村川は一度は勝負の土俵から離れてしまった。が、ここであきらめてはいけない。冨田氏も言う。
「村川選手のような足のスペシャリストがいるだけで、投手に大きなプレッシャーを与えることができます。チームのミーティングでも常に相手チームの盗塁企図率などをチェックしていますから。
村川選手が復活して、ぜひDeNAの起爆剤になってもらいたい。そのためには、100%のパフォーマンスが発揮できるように、まずはケガをしっかり治してほしいです。そのうえで、もう一度アピールしてもらいたい。彼の活躍は、後輩独立リーガーの励みになりますし、DeNAの大きな戦力になると思いますので」
村川の持つ50メートル5.5秒の脚が復活する時を心待ちにしたい。
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