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今年のセンバツは東日本が優勢か!? 投打のバランスで西日本を上回る! 過去10大会は近畿勢が5回優勝と圧倒的強さ

2024.02.05


2022年のセンバツを制した大阪桐蔭 ※写真:東京スポーツ/アフロ

第96回選抜高等学校野球大会の32校が決定した。今年は東日本が強いのか、西日本が強いのか?

過去10年では近畿地区が圧倒!

2013年からの過去10大会を見ると、近畿勢が群を抜いて強い。優勝、準優勝だけ見ても計9回ある。

優勝 5回(大阪桐蔭 17年、18年、22年、龍谷大平安 14年、智辯学園 16年)
準優勝 4回(履正社14年、17年、智辯和歌山 18年、近江 22年、報徳学園 23年)

とくに大阪桐蔭の強さは際立っており、根尾 昂投手(中日)、藤原 恭大外野手(ロッテ)などが甲子園に登場した17年〜18年では春夏合わせて4回出場していて、センバツはいずれも優勝。18年は夏も優勝と、まさに黄金時代だった。2022年にも優勝。この大会では大会記録となる11本塁打を記録している。ちなみにベスト4も2回(2015年、2023年)達成している。また近畿勢同士の決勝戦は2014年の龍谷大平安vs履正社、2017年の大阪桐蔭vs履正社、2022年の大阪桐蔭vs近江と3回も実現。2010年代のセンバツは近畿勢が一時代を作った。

一方、東日本勢も近年、少しずつ盛り返している感じはある。2019年には東邦(愛知)vs習志野(千葉)の東日本同士の決勝もあり、2021年は東海大相模(神奈川)が優勝、2022年は浦和学院(埼玉)、國學院久我山(東京)がベスト4。浦和学院は強打で勝ち上がり、そのパワーは近畿の学校に負けていなかった。そして昨年のセンバツでは山梨学院(山梨)が報徳学園(兵庫)を破り、初優勝。夏も慶應義塾(神奈川)が甲子園優勝を果たし、10年ぶりの関東勢が春夏で甲子園優勝を果たした。

今年の戦力でみると東日本が優勢か?

作新学院・小川哲平

では今年は、どちらが優勢かといえば東日本だろう。特に関東勢の躍進に期待がかかる。昨秋の明治神宮大会では作新学院(栃木)が準優勝、関東一(東京)がベスト4。関東一大阪桐蔭を破ったことも話題となり、秋の全国大会での実績は関東地区に分があった。

両チームに共通するのは、強打、機動力を兼ね備え、粘り強い試合運びができ、パワーピッチャーを備えていること。作新学院には最速147キロ右腕・小川 哲平投手、関東一には145キロ右腕・坂井 遼投手(関東一)がいる。

近年の関東の強豪はきめ細かさの上に、パワーを兼ね備えたチームが多い。強力打線の健大高崎(群馬)はプロ注目の箱山 遥人捕手を中心に強打者が揃い、佐藤 龍月投手(1年)、石垣 元気投手(1年)と140キロ中盤の速球を投げ込む投手を擁し、選手の個々のポテンシャルは全国トップクラス。常総学院(茨城)は149キロ右腕の小林 芯汰投手(2年)、プロ注目のスラッガー・武田 勇哉内野手(2年)と投打の柱がいる。

桐光学園健大高崎を破って、3年連続で関東大会決勝進出の山梨学院は戦略の上手さ、粘り強さが群を抜いている。

秋では多くの好投手を攻略し、機動力の高さは一級品の中央学院(千葉)も躍進が期待できる。
関東地区は個々の選手のレベルが他地区に比べて高く、投打ともに揃っているのが強み。かといって個人に頼るチームスタイルでもない。そこが躍進が期待できる点だ。

近畿地区は投手がキーマンのチームが多い

一方、近畿勢。大阪桐蔭(大阪)は今年の近畿勢の中では、唯一、関東勢に負けないパワーを持ったチームだろう。投手では154キロ右腕・平嶋 桂知投手(2年)、151キロ右腕・森 陽樹投手(1年)と140キロ超えの投手が多く揃い、打線ではラマル ギービン ラタナヤケ内野手(2年)、徳丸 快晴外野手(2年)とタレントは揃っている。ただ、守備力が課題で、22年ほどの絶対感や、盤石さはない。

それ以外のチームは投手を中心とした守備型のチームが多い。軸となる選手には真っ先にエース投手の名前が挙がる。ただ打線は多少の失点でも跳ね返せるほどのパワーや、個人で際立った野手がやや少ない。

準優勝の京都外大西(京都)は田中 遥音投手(2年)を中心にしぶとく勝ち上がるチーム。ベスト4の京都国際(京都)はエース・中崎 琉生投手(2年)を中心に守り抜き、俊足の澤田 遥斗外野手(2年)、奥井 颯大捕手(2年)の経験者たちがチャンスメイクに徹し、さらに堅い守備で少ない失点で勝ち上がった。初出場の耐久(和歌山)は142キロ右腕の冷水 孝輔投手(2年)が柱となっており、近畿大会も全3試合完投で、打線の3試合の総得点は9得点と突出したものではなく、やはり冷水の出来が鍵を握るチームだ。

報徳学園(兵庫)はプロ注目右腕・今朝丸 裕喜投手(2年)、間木 歩投手(2年)の2枚看板がいる。ただ、昨年のセンバツ準優勝チームと比較すると、やや打力が落ちる。近江(滋賀)も143キロ右腕・西山 恒誠投手(2年)が初戦の興国戦で76球完封勝利し、2試合で1失点だったが、打線も2点と打線が課題になった。21世紀枠出場の田辺(和歌山)は昨秋の県大会で市立和歌山智辯和歌山の現在の2強を破り、139キロ右腕の寺西 邦右投手(2年)がいかにゲームメイクできるかが対抗できる手段となる。

また、他地区を見ると、強力打線で勝ち上がった星稜(石川)も2015年の敦賀気比(福井)以来となる北信越地区からの優勝が狙えるチームで、洗平 比呂投手(2年)、岡本 琉奨投手(2年)の140キロ超え左腕2人擁する八戸学院光星(青森)も昨夏の甲子園ベスト8に続き、優勝を狙う。3年連続出場の高知(高知)も148キロ右腕・平 悠真投手(2年)、144キロ右腕・辻井 翔大投手(2年)と2枚看板で勝負する。

東日本が躍進するのか、近畿地区を始めとした西日本が例年通りの強さを発揮するのか。まずは3月8日の抽選日が待ち遠しい。

【2013年から23年までの10大会のベスト8以上の学校一覧】

※2020年は新型コロナウイルス拡大の影響で中止

【2013年】
優勝 浦和学院(埼玉)準優勝 済美(愛媛)
ベスト4 敦賀気比(福井) 高知(高知)
ベスト8 聖光学院(福島)、北照(北海道)、仙台育英(宮城)、県立岐阜商(岐阜)
【2014年】
優勝 龍谷大平安(京都)準優勝 履正社(大阪)
ベスト4 佐野日大(栃木)豊川(愛知)
ベスト8 沖縄尚学(沖縄)、明徳義塾(高知)、桐生第一(群馬)、福知山成美(京都)
【2015年】
優勝 敦賀気比(福井) 準優勝 東海大四(北海道)
ベスト4 大阪桐蔭(大阪)、静岡(静岡)、県立岐阜商(岐阜)、常総学院(茨城)
【2016年】
優勝 智辯学園(奈良)準優勝 高松商(香川)
ベスト4 秀岳館(熊本)、龍谷大平安(京都)
ベスト8 滋賀学園(滋賀)、明石商(兵庫)、木更津総合(千葉)、海星(長崎)
【2017年】
優勝 大阪桐蔭(大阪)準優勝 履正社(大阪)
ベスト4 報徳学園(兵庫) 秀岳館(熊本)
ベスト8 健大高崎(群馬)、東海大福岡(福岡)、盛岡大付(岩手)、福岡大大濠(福岡)
【2018年】
優勝 大阪桐蔭(大阪)準優勝 智辯和歌山(和歌山)
ベスト4 三重(三重)、東海大相模(神奈川)
ベスト8 日本航空石川(石川)、星稜(石川)、花巻東(岩手)、創成館(長崎)
【2019年】
優勝 東邦(愛知) 準優勝 習志野(千葉)
ベスト4 明石商(兵庫) 明豊(大分)
ベスト8 市立和歌山(和歌山)、龍谷大平安(京都)、筑陽学園(福岡)、智辯和歌山(和歌山)
【2021年】
優勝 東海大相模(神奈川)、準優勝 明豊(大分)
ベスト4 天理(奈良)、中京大中京(愛知)
ベスト8 東海大菅生(東京)、智辯学園(奈良)、仙台育英(宮城)、福岡大大濠(福岡)

【2022年】
優勝 大阪桐蔭(大阪) 準優勝 近江(滋賀)
ベスト4 浦和学院(埼玉)、國學院久我山(東京)
ベスト8 星稜(石川)、市立和歌山(和歌山)、金光大阪(大阪)、九州国際大付(福岡)
【2023年】
優勝 山梨学院(山梨) 準優勝 報徳学園(兵庫)
ベスト4 広陵(広島) 大阪桐蔭(大阪)
ベスト8 作新学院(栃木)、専大松戸(千葉)、東海大菅生(東京)、仙台育英(宮城)

この記事の執筆者: 河嶋 宗一

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