「ドラフト同時指名6人、私はこうやって育てた」 徳島IS・岡本哲司監督が明かした指導論② 「阪神2位・椎葉の成長は、徳島メソッドが正しかったことの証明です」
昨秋のドラフトで四国アイランドリーグplus・徳島インディゴソックスから史上最多の6人が指名を受けた。
阪神2位 椎葉 剛投手(島原中央ーミキハウス)
DeNA6位 井上 絢登内野手(久留米商-福岡大)
西武5位 宮澤 太成投手(長野-北海道大)
西武育成1位 シンクレア ジョセフ孝ノ助投手(ジョンオリバー高-コチス短大・メアリー大学)
西武育成2位 谷口 朝陽内野手(広陵)
ソフトバンク育成7位 藤田 淳平投手(川島-東亜大)
快挙としか言いようがない。
この「最強育成球団」を率いるのは、岡本哲司監督。2022年の就任後、2年でじつに9人のNPB選手を育て上げている。岡本監督はこの6人にどのような指導を行っていたのだろう。具体的なエピソードを交えながら話してもらった。
<岡本哲司監督インタビュー>
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「頭と体の動きを一致させた」DeNA6位・井上への指導
――NPBに進んだ6人について話を伺いたいと思います。まず井上選手から。彼に話を聞くと、岡本監督からスイングの矯正のための打撃のドリルを教わり、非常に役立ったと聞ききました。
岡本:彼の場合は入団した時から「NPBに行けるな」と思ってたんですよ。やはり一軍で活躍できる体の強さ、体幹の強さ、ボールの捉え方など優れていました。彼が2年間在籍したのは、NPB仕様のコーディーネートにするまで、2年の時間がかかったという感じですね。
――井上選手に話を聞くと、自分の課題に見つけて真面目に向き合ってきたことがわかりました。
岡本:練習はものすごいします。チームのみんなが見習うぐらいの練習をしていました。その上で、上達のために何を練習するのか、その整理がものすごい大事です。
――成長を見守ってきて、彼の中で、何をやるのかが徐々にクリアになった感じでしょうか。
岡本:頭がクリアというより、体がクリアになってきた感じですね。頭で考えていることに体の動きを近づけないと、続けられないんですよ。井上の場合、入団当初は向上心が強すぎて、頭の中がスリップしている感じでした。頭で考えていること、体の動きがバラバラだったわけです。この2年間で、ようやく頭で考え、体の動きが一致してきたということでしょう。
――シンクレア投手ですが、彼のインタビューを振り返ると、「僕は質問するのが好きなんで、岡本監督にどんどん質問しました」といっていました。
岡本:彼の場合、誰が触らなくてもNPBに行けるぐらい完成されていました。そういう素材でしたので、あとはどれだけ実戦で活躍するかの問題でした。初めて日本の夏を経験してバテたところはありましたが、彼はNPBでもしっかりとやれる選手だと思います。
――質問していても、受け答えはしっかりされていた感じでしょうか。
岡本:彼はアンサーが一番返ってくる選手。彼の場合、ボールを狙いすぎて、置きにいって打たれることがあったので、「甘いところでもいいので、どんどん打たれろ」と言いました。彼の場合、それでも打たれないので。そこから始まっていかないと「本当のコントロール」は身につかない。そのことだけはしっかりとやりました。
「トレーニングで勝つ」ことを証明した阪神2位・椎葉
――阪神2位の椎葉投手は、入団1年でものすごい伸びたように見えますが、岡本監督の目にはどう映っていますか。
岡本:彼はものすごく体がいい。球団が重要視しているのは、トレーニングです。球団にはトレーニングがしっかりとできる「インディゴコンディショニングハウス」があって、彼はずっと通ってやっていました。トレーニングは大事なんですけど、身になる選手もいれば、身にならない選手もいる。
彼は時間をかけてトレーニングをして、そのあと自分はどうすればいいか、それを理解している選手でした。なかなかできないことで、やってきたトレーニングがうまく成長に噛み合ってきた選手だったと思います。
想像以上の成長でしたし、徳島インディゴソックスの取り組みは間違っていなかったんだと再確認させる結果でした。トレーニングで体を作り、しっかりとゲームの中で学び、見直して、振り返って臨む。2位というのは、やってきたことが間違っていなかった順位でもありました。
――宮澤大成投手の成長についてはいかがでしたか。
岡本:投手・宮澤を作ったのは間違いなくトレーニング。しっかりとトレーニングをして、トレーニングで培った力を実戦に置き換えることができた。彼からトレーニング、ウエイトを取ったら、なんの特徴がない投手だったと思います。
――椎葉、宮澤両投手の成長を支えた「インディゴコンディショニングハウス」は、ほかに類を見ない施設だと感じます。
岡本:独立リーグの球団として、トレーニングがしっかりとできる施設を持っているというのはなかなかないと思います。トレーニングで勝つ、トレーニングで目標達成することを重きに置いているので、その位置づけはものすごい大事なので、いつでもトレーニングできる環境を作っているんです。