佐野、宮﨑、山本祐大…なぜかドラフト最下位が活躍する”DeNAの怪”
DeNAの佐野 恵太外野手(広陵出身)が契約更改を終えた。今シーズンの佐野は141試合の出場で打率.264、13本塁打の成績だったが、これは完全なレギュラーとなった2020年以降でワーストの数字だった。
契約更改後の会見でも、「何一つ、納得いく数字は残せなかった。今年の悔しさの分、来季、自分を奮い立たせて今まで以上にやりたい」と悔しさを滲ませている。来シーズンにかける思いは強いだろう。
佐野は2016年のドラフト9位指名で入団した。DeNAの支配下指名では一番最後での入団だった。近年のDeNAでは、この佐野のように、ドラフトで最後に支配下指名された野手が戦力になっているケースが多い。
2010年代以降で、最後に支配下指名された野手は、靍岡 賢二郎(春日部共栄出身)、宮﨑 敏郎内野手(厳木高出身)、佐野、山本 祐大捕手(京都翔英出身)、知野 直人内野手(第一学院出身)、梶原 昂希外野手(大分雄城台出身)の6人。
靏岡はすでに現役を引退している。1軍では24試合に出場にとどまるも、ブルペン捕手やスコアラーを経て、来シーズンから1軍オフェンスチーフコーチに昇格した。選手としてではなく、違う形でチームに貢献している。
宮﨑と佐野は、ともに首位打者を獲得するなど、チームの中心となっただけでなく、球界を代表する選手に成長した。山本は入団当初こそ打撃面で苦しんだものの、今シーズンは大きく飛躍。主に、東 克樹投手(愛工大名電出身)とバッテリーを組みながら、自己最多の71試合に出場し、打率.277、3本塁打と結果を出した。来シーズンの正捕手候補筆頭でもある。
知野は確固たる結果こそないものの、今シーズンは代走などで39試合に出場。広島とのクライマックスシリーズで見せた、浅いセンターフライからのタッチアップは好走塁として大きく取り上げられた。梶原も、1軍での実績はないが、今シーズンはファームで打率.338(290打数98安打)と結果を残している。
ドラフトの下位指名選手は、1位指名をはじめとした上位指名と比べると、どうしても成績的に見劣りすることが多い。しかし、DeNAはこのように支配下最下位指名の野手を次々に戦力へと成長させてきた。
今年のドラフト、支配下で最後に指名した井上 絢登外野手(久留米商出身)も野手だ。先輩たちのような結果を残すことに期待がかかる。
<DeNAが支配下で最後に指名した野手>
※2010年以降
靍岡 賢二郎(春日部共栄→日本体育大→四国IL愛媛→2010年8位)
宮﨑 敏郎(厳木→日本文理大→セガサミー→2012年6位)
佐野 恵太(広陵→明治大→2016年9位)
山本 祐大(京都翔英→BC滋賀→2017年9位)
知野 直人(聖光学院中退→通信制・第一学院→BC新潟→2018年6位)
梶原 昂希(大分雄城台→神奈川大→2021年6位)
井上 絢登(久留米商→福岡大→四国IL徳島→2023年6位)