【高校野球ベストシーン’23・奈良編】高田商が天理にリベンジ、悔しさを味わった選手が大奮起
宮武晃希(高田商)
2023年もあとわずか。ことしも高校球界ではさまざまな印象的な出来事があった。各都道府県ごとにベストシーンを思い出してみよう。
【選手権県大会準決勝・高田商vs.天理】
夏の大会ならではの、互いに譲れない気持ちと気持ちのぶつかり合いとなった激戦が、奈良大会準決勝で繰り広げられた。2年連続の夏甲子園を狙う天理と、前年秋の奈良大会決勝で天理に敗れたリベンジを狙う高田商。夏甲子園が見え始めた準決勝で、まさに死闘を演じた。
2回表まで高田商が5対0と大きくリード。しかし天理は2回裏に3点を奪って食い下がると、5回には同点に追いついた。6回に高田商が1点を勝ち越すが、その裏に再び天理が2点を奪って逆転した。シーソーゲームとなった試合は、7対6と天理が1点をリードして迎えた9回に、ドラマが起きた。
高田商が天理の麻田 悠介投手(2年)に襲いかかる。先頭打者からの連打で無死一、三塁のチャンスをつくると、主将の北嶋 悠輝捕手(3年)が右前適時打を放って同点に追いつく。前年の夏、同じく準決勝で天理に0対7で敗れていた。その試合の最後の打者となった北嶋の意地の一打が、ナインに勇気を与えた。
その後、先発から左翼に回っていた宮武 大輝投手(3年)の代打に送られた、双子の弟・宮武 晃希内野手(3年)が決勝の2点適時打。右肘痛の影響で控えに甘んじていた元三塁手のレギュラーが、奮起の一打を放って見せた。その後、もう1点を加えて、この回4得点。最強の難敵を最後の最後で逆転してみせた。
高田商は近年、天理と五分五分の戦いを演じている。前年の秋の決勝で2対12で敗れ、前年の夏も準決勝で0対7の7回コールド負け。そのリベンジをこの夏に果たしたことになる。21年は逆に夏の準決勝では9回逆転サヨナラの7対6で勝利。秋の準決勝では逆転の13対9で勝利している。
近年、甲子園出場こそ智辯学園と天理の「2強」が中心ではあるが、高田商や奈良大附など、この2強を脅かすチームが台頭しているのは確か。来年は、どんな「勢力地図」になるのだろうか。
<全国高校野球選手権奈良大会:高田商10-7天理>◇2023年7月26日◇準決勝◇佐藤薬品スタジアム
高田商スタメン
(中)東口 虎雅(3年)
(遊)山中 竜真(3年)
(三)米田 真浩(3年)
(右)竹中 大曜(3年)
(左)米田 賢祐(3年)
(捕)北嶋 悠輝(3年)
(一)藤井 拓海(2年)
(投)宮武 大輝(3年)
(二)高島 秀成(3年)
天理スタメン
(二)下林 勇希(3年)
(捕)赤埴 克樹(3年)
(右)大谷 汰一(2年)
(三)松本 大和(2年)
(左)藤原 凪秀(2年)
(一)三島 潤也(3年)
(遊)赤埴 幸輝(1年)
(投)中川 輝星(3年)
(中)上田 莞丸(3年)※日本大進学予定