【東京】3回戦 創価 vs 国士館
後半勝負で臨んだ創価 7回2死から大量13点を挙げて国士舘を破る
<秋季東京都高校野球大会:創価22ー11国士舘(7回コールド)>◇22日◇3回戦◇江戸川区
最近はあまり言わなくなったが、得点が多く入る試合を「ラグビースコア」という。創価と国士舘の一戦は、日本時間で22日の早朝に行われたラグビー・ワールドカップの準決勝の南アフリカーイングランド戦の合計得点31点をも上回る33点が入る、まさに「ラグビースコア」の試合になった。
近年、東京では指導者の交代が多くなっている。創価もその1つで、この秋から堀内尊法氏が新監督に就任した。堀内新監督は創価大の監督・コーチを長年務めていたが、松山商(愛媛)が1986年夏の甲子園大会で準優勝した時のメンバーでもある。堀内監督は、しっかり守って、しっかり点を取っていく松山商の野球が根底にあるという。3回戦で対戦する国士舘は、1回戦は5回コールド、2回戦は6回コールドと大勝している。「すごくいいチームです。でも6回までしかやっていません。後半勝負だと思っていました」と堀内監督は語る。
国士舘はエースの早川 恵陽投手(2年)、創価は複数投手がいる中で背番号18の森山 秀敏投手(2年)が先発。左腕投手同士の対決になった。
試合は2回、創価が、下位打線の4者連続安打で2点を入れたが、その裏、国士舘は、9番・早川の二塁打などで3点を入れて逆転する。さらに4回には3番・片倉 稜大内野手(2年)の三塁打などで3点を入れて大きくリードする。
それでも創価の選手たちは落ち着いていた。5回には、「左対策は十分にやってきました」と言う創価の4番・高橋 球児内野手(2年)の二塁打などで3点を挙げて追い上げる。6回には1死二、三塁から4番・高橋の左前適時打で1人生還して同点になり、5番・小宮 己輝外野手(2年)の三塁打などで2人が還り逆転。小宮も、4回から森山に代わり登板している6番・土居 賢士郎投手(2年)の二ゴロで生還し、この回4点を挙げた。
圧巻だったのは、7回の創価の攻撃だった。1死後、9番・小牧 莉央外野手(1年)がバント安打で出塁したものの、1番・嶋埼 正秀内野手(2年)の痛烈な打球を、国士舘の三塁手・落合 伯内野手(2年)が好捕して2死になった。しかし2番・中川 俊則内野手(2年)の右前安打を皮切りに、安打7本、四死球6、失策1の14人連続出塁で、この回一挙に13点を挙げた。まさに堀内監督がいう後半勝負であり、何点取っても手を抜かない打線の迫力は、強い時代の松山商を彷彿させる。
大量リードされても国士舘は7回、1番・原田 瑠偉内野手(2年)の3ランなどで5点を返すなど、最後まで戦う姿勢は示した。とはいえ7回の13点があまりに重く、22対11の7回コールドで創価が勝ち準々決勝に進出した。創価としても問題点が多く出た試合であったが、「これから1週間、修正していきたいです」と堀内監督は語る。準々決勝は早大学院と対戦する。
一方、敗れた国士舘は、「最後ズルズルと終わらず、点を取れたことは良かったです」と箕野豪監督は言う。それでも夏の日大三戦に続き、大量失点での敗戦に、ショックは隠せない。これから来年に向けて鍛え直すことになるが、来年からは低反発バットが導入される。「野球が変わります」と箕野監督。国士舘は走塁を絡めた攻撃を得意とするだけに、どのように対応するか注目である。
取材・文=大島裕史