試合レポート

【埼玉】決勝 花咲徳栄 vs 昌平

2023.10.08


SCORE
花咲徳栄
昌平
1234567891011121314
0 0 5 0 0 0 3 0 0
1 0 0 1 3 0 0 0 0
TOTAL
8
5

花咲徳栄が更科4打点の活躍で昌平との打ち合いを制し4年ぶりの優勝!

<秋季高校野球埼玉大会:花咲徳栄8-5昌平>◇3日◇決勝◇県営大宮

秋季埼玉県大会もいよいよ決勝戦となり、優勝候補筆頭のAシード・花咲徳栄vsBシード・昌平の一戦。この対決は今夏の準決勝でもぶつかり、壮絶な試合で花咲徳栄が勝利したことは記憶に新しいが、新チームも既に東部地区新人戦準々決勝で対戦している。その時は和久井 大地投手(2年)が完投し、7対3で勝利しているが今回はどうか。

先発は花咲徳栄がその和久井、一方の昌平は1年生左腕の木下 雅斗投手が登板し試合が始まる。

先制したのは昌平であった。

昌平は初回、花咲徳栄・和久井の立ち上がりを攻め、2死から3番・山根 大翔外野手(2年)が中越えの二塁打を放ち出塁すると、続く櫻井 ユウヤ内野手(1年)が左前適時打を放ち幸先良く1点を先制する。

だが、昌平・木下が花咲徳栄打線の2巡目を迎えた3回、突如制球を乱す。

花咲徳栄は3回、1死から2番・目黒 亜門外野手(2年)が四球を選び出塁すると、続く生田目 奏外野手(2年)が一塁への強襲ヒットを放ち1死一、三塁とする。生田目はすぐに二盗を決めると、4番・石塚 裕惺内野手(2年)も四球を選び1死満塁とチャンスを広げる。さらに続く横山 翔也内野手(2年)も押し出しの四球を選び同点とする。

昌平ベンチは6番・更科 悠風内野手(2年)も1ボールとなったところで、たまらず2番手・鈴木 耀斗投手(2年)へスイッチする。

だが、花咲徳栄昌平・鈴木の代わり端を攻め立て、6番・更科が中前2点適時打を放つと、さらに暴投で1死二、三塁とする。続く阿部 航大内野手(2年)も四球を選び1死満塁とチャンスを広げると、8番・和久井が三塁強襲の適時打を放ち4点目、続く田端 太貴捕手(2年)の内野ゴロでさらに1点を加えるなど、花咲徳栄はこの回一挙5点を奪うビッグイニングを作り逆転に成功する。

だが、昌平は4回からエース佐藤 立羽投手(2年)をマウンドに送ると流れが変わる。

昌平は4回、この回先頭の櫻井が右中間フェンス直撃の二塁打を放ち出塁すると、1死後、6番・渡辺 暁斗内野手(2年)が左中間へ適時二塁打を放ち1点を返す。

追い上げムードとなった昌平は5回にも、この回先頭の諏江 武尊内野手(1年)が右翼線へ二塁打を放ち出塁すると、続く石川 來夢内野手(2年)も右中間へ適時二塁打を放ちまず1点。さらに2番・大槻 真広外野手(2年)、3番・山根が連続四球を選び無死満塁とチャンスを広げる。続く櫻井のセカンドゴロ併殺の間に2点目、5番・園田 耀大外野手(2年)が中前2点適時打を放ち5対5の同点とする。

流れを変えたい花咲徳栄は6回からマウンドに左腕・額川 康一投手(2年)をマウンドに送る。前の聖望学園戦は厳しい登板となったが、今回は好投し反撃開始。そして7回、昌平のエース佐藤に襲いかかる。

この回先頭の石塚が四球を選び出塁すると、続く横山が右前安打を放ち、無死一、三塁とする。ここで、6番・更科が右中間へ2点適時三塁打を放ち、勝ち越しに成功する。

昌平ベンチはここで佐藤を降ろし、4番手に先日の新人戦・花咲徳栄戦で先発した江原 容南投手(2年)が登板する。
花咲徳栄は江原の代わり端を攻め、1死三塁から8番・額川がスクイズを決めるなど花咲徳栄はこの回3点を勝ち越す。

投げては花咲徳栄・額川が6回以降、昌平打線を1安打無失点に抑える。結局、花咲徳栄が8対5で昌平に勝利し4年ぶりの優勝を飾った。

昌平の岩﨑監督は「木下は状態が良くてもタイミングがなかったので今日先発で。佐藤は1対5の劣勢になっていたので、流れを作ってもらいたいということで登板させた。そういう意味ではある程度仕事はしてくれたが、7回に打たれてしまった部分は今後の彼の課題。額川君に対しては対応がうまくできなかったので修正していきたい。私も監督になってすぐで色々な思いがある中、選手が野球に集中してくれたことが大きい。打の部分は今大会である程度自信をつけてくれたので、関東へ向け1イニングでの大量失点を減らすこと。最少失点で切り抜ければ終盤チャンスが出てくるはず」。この日は敗れたが、石井 晴翔投手(2年)や山根を使っておらず、ある程度、想定内のものだ。

「4番はとてもやりやすい。旧チームでは下位で繋ぎのバッティングを求められたがそれは好きじゃない。4番だと左中間や右中間へ強い打球を狙う自分のスイングができるので」と櫻井。昌平の投手陣は関東大会でもある程度計算できるレベルにある。あとはレベルの高い関東大会の投手陣から櫻井を含めた攻撃陣が県大会同様の力を発揮することができるかが鍵になる。

一方の花咲徳栄は、この日は額川と更科が投打に活躍した。「前の試合高めに浮いたが、今回は低めにストライク先行で行けて四球を出した後も落ち着いて投げることができた。右3枚はトップクラスに良いので自分と今井がそこにどこまで割っていけるか」(額川)。今年の花咲徳栄投手陣というと右3枚の印象が強いだけに、額川の好投は今後へ向け収穫であろう。

岩井監督は「春も夏もあるのでエースの佐藤君を打たないと。佐藤君を打つ練習もしてきているので。秋に強力打線なんておこがましい。打つというより崩すという意識で追い込んでいければ、秋は四球やエラーもあるので。来春以降はバットの規格も変わるし、三振の数が少なく低い打球の徹底を。もっとバントやエンドランを絡めてもいいんだが、今はバットの芯に当てることを徹底させたい。凡打の質が悪いチームは勝てないと常日頃言っている。それはU-18の取り組みと一緒。額川は武器である変化球を生かし、今回は良く投げた。(投手編成を考えても)額川は貴重な左腕だが、いつも大事に大事にって逃げちゃうんで。今日も昌平はロングがあって外に外に、となっていたので狙って投げるなと。4打点の更科はこれまでチャンスで消極的な部分があったので良い収穫。私がいない3週間の遅れの部分を猛練習でカバーしたが故障者が出なくて良かった。関東に向けてグレードアップしていきたい。今大会58安打52得点だがもっとできるはず」と、まずは昨秋の雪辱を果たし、内心ホッとしているはず。ただし、ここからが本当の戦いである。この2週間で関東仕様にバージョンアップしてくるであろう。久々の甲子園への扉を切り開くことができるか。

花咲徳栄vs昌平という東部地区対決で終わった今大会。来春のシードを獲得したのは東部が前述2校、西部が山村学園聖望学園坂戸の3校、南部が浦和学院埼玉栄の2校、北部が上尾の1校となり西部地区の高校の活躍がやや目立った。

前評判通り花咲徳栄の上原 堆我投手(2年)、岡山 稜投手(2年)、昌平の佐藤、山根、石井、大宮東冨士 大和投手(2年)、山村学園西川 歩投手(2年)、上尾の飯島 恒太投手(2年)、藤村 美輝投手(2年)ら、好投手が活躍するも、秋はまだ打力が強い高校が最終的に上位へ来た印象を受ける。だが、金属バットが新規格に変更となるため、今春以降はさらに投高打低の状況となるであろう。各校の野球がどう変更されるか注視していきたい。

最後に、地区予選時は各校インフルエンザの影響も受けただけに、県大会もその影響が心配されたが、大きな問題もなく終えることができた。運営で尽力された埼玉県高野連を含めた大会関係者へ賛辞を送りたい。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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