試合レポート

【群馬】準決勝 明和県央 vs 前橋商

2023.10.01


明和県央が甲子園帰りの前橋商を下して決勝進出

<第76回秋季関東地区高校野球大会群馬県予選:明和県央3-1前橋商>◇30日◇準決勝◇小倉クラッチ

この夏は、決勝で桐生第一にサヨナラ勝ちして13年ぶり6回目の甲子園出場をつかんだ前橋商。伝統の公立商業校として気を吐いた。そのチームから3番を任されていた二塁手の小池や米山捕手、外野手の庭野、髙橋一輝らが残った。そして、この秋も準々決勝で昨夏の優勝校でもある樹徳を返り討ちするなどしてベスト4に進出してきた。

明和県央は高崎市にある私立校で、スポーツコースなども有しており、ラグビー部は県内では強豪校として知られている。この夏は第2シードとして臨んだが、3回戦で高崎商に競り負けた悔しい思いをした。そしてこの秋は、シード校として桐生清桜高崎、高崎商科大附といったところを下してベスト4まで進出してきた。昨秋も、準優勝で関東大会進出を果たしている。2年連続の決勝進出で、まずは関東大会の出場権を得たいところであろう。

試合は、前橋商の190センチの長身で140キロの直球を常時投げ込んでいく右腕・清水投手と、明和県央の小路 颯人投手の好投手戦となった。どちらも、直球の伸びがよく、打者の手元でもグーっと伸びてきているという印象だった。球の回転がいいという投球であろうか。清水投手に関しては、早くも来年のドラフト候補という声も挙がっているくらいの逸材でもある。

そんな清水投手に対して明和県央は初回、2死で四球の走者を一塁に置いて4番・髙橋主将の左越え二塁打で一塁走者をかえして先制する。しかし、その後は、3人ずつで抑えられて走者を出すこともままならないという状況になっていた。

前橋商は、2回に先頭の4番・米山が二塁打して、バントで進んで1死三塁となり同点機を迎えたのだが、ここは小路投手が踏ん張って連続三振で抑える。こうして、2回以降はスコアボードには、お互いに0が並んでいく。こういう展開になると、試合の流れというところからも、次の1点がどういう形で、どちらに入るのかということが大きく影響していくのではないかという雰囲気になっていく。

グラウンド整備を終えた後の6回、明和県央は9番から、前橋商は1番からという好打順でもあり、ここで次のアクションがあるかもしれないと思えた。しかし、両投手とも全くペースは変わらず、ともに3者凡退で抑えていく。6回を終わって、明和県央は1点こそ奪ってはいるものの、初回の髙橋の1安打のみで10三振。前橋商も、4番・米山の2安打のみで8三振。投手の、奪三振合戦みたいな展開にもなってきていた。

そうして迎えた7回、明和県央は11個目の三振で1死後、4番・髙橋が右前打して2本目の安打。盗塁で2死二塁としたところで、ここまで2三振だった6番・小路 悠斗は、いいタイミングで振った打球が左翼手の頭上を破って適時二塁打となった。さらに、勢いづいた明和県央は続く深津も中前へはじき返す。二塁走者が思い切ってかえってきて、この回2点で3対0となった。試合の流れからしても、これは貴重な3点目になっていくだろうと思われた。

好投していた清水投手としては、いささか悔やまれる7回の投球でもあった。

前橋商はその裏、無死一、二塁、バントで1死二、三塁とチャンスを作ったが、ここで明和県央の塚原元気監督は思い切ってリリーフに二塁を守っていた田中を送り出した。その田中投手が踏ん張って、後続を抑えた。その後も、田中投手が投げ切って、9回に1点は失ったものの、思惑通りの継投という形で明和県央は昨秋に続いて関東大会進出を果たした。

塚原監督は、「清水君対策として、マシンを140キロ以上に設定して、速い球に振り遅れないようにということはやってきました。それに、OBで大学4年生なんですれども、背の高い投手がいて、それが丁度時間があったということで練習を手伝いに来てくれて、角度のある球にも対応していかれました」と、1週間、清水投手対策をしてきたことが7回に何とか実を結んだことを喜んでいた。

前橋商の住吉信篤監督は、「言い訳になってしまいますけれども、甲子園から新チームへの切り替えで、ちょっと準備時間が少なかったというのはありました。ただ、やはり柱になる選手が抜けて、経験値の不足が出てしまいましたね。まだ、やらされているという感じなんで、その対策としては、技術云々よりも、自分たちで何をやって行くのかという選手たちの自覚だと思います」と、見つめていた。一冬を越えて、来春以降の躍進に期待したいところでもある。

取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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