試合レポート

【埼玉】2回戦 東農大三 vs 武南

2023.09.28


SCORE
武南
東農大三
1234567891011121314
0 0 3 0 1 1 0 0 0
0 0 0 5 1 5 0 0 X
TOTAL
5
11

給水タイム中の声掛けで選手が奮起!東農大三が武南を逆転で破り3回戦へ!

<秋季高校野球埼玉大会:東農大三11ー5武南>◇25日◇2回戦◇県営大宮

秋晴れの県営大宮球場、第3試合は、今夏ベスト8の東農大三武南との一戦。

武南がエースの吉田 平良投手(2年)、一方の東農大三は地区予選や前の試合同様に背番号11の左腕・上野 理久(2年)が先発し、今夏エース加藤 旭投手(2年)は1番・中堅手で出場し試合が始まる。

序盤は武南ペースであった。

武南は3回、1死から9番・大澤 光(2年)が遊撃への内野安打で出塁すると、すぐさま二盗を決める。続く深瀬 晄太郎(2年)も死球で出塁し1死一、二塁とすると、2死後、3番・本田 汰斗(1年)の右前適時打で、まず1点。続く吉田 英十(1年)が左中間へ2点適時二塁打を放つなど、この回一気に3点を先制する。

さすがに、これ以上のビハインドは致命傷になりかねないと判断した東農大三ベンチは、上野からエース加藤へスイッチする。

3点を追う東農大三はその裏、すぐに反撃したいところであったが、先頭の加藤は3ボールからの4球目を強引に打ちに行き外野フライに倒れると後続も凡退し無得点に終わる。「このゲーム展開で各選手口々に浮足立たないようにとか落ち着いて行こうとか言っていて。キャプテンも我慢していこうという雰囲気だったんですが、これは良くないなと」。業を煮やした髙廣監督は、3回終了の給水後、選手達を集合させ「正直、加藤が3ボールから打っていいと思っている人、手を挙げろ!青木 亮太(2年)が1打席目と同様に初球を凡退して、はっ?て思った人、手を挙げろ!と。これ皆、思っているからちゃんと吐き出さないとダメということと、加藤と青木にもう1度チャンス回ってくるから2人はちゃんと反省しなさい」と、現状を有耶無耶にせず選手へ奮起を促す。

すると、効果覿面、顔色が変わった東農大三は、迎えた4回1死から6番・小柳 克樹(1年)が四球を選び出塁すると、続く持田 裕紀(2年)が右前へポトリと落ちる安打を放ち1死一、二塁とする。さらに2死後、捕逸で2死二、三塁とすると、9番・町田 大和(2年)も四球を選び、2死満塁とチャンスを広げる。ここで、先ほど名前が挙がった加藤が汚名返上となる左前適時打を放つと、2番・関根 佑(2年)も遊撃への適時内野安打を放ち1点差。さらに続く長島 颯(2年)が押し出しの四球を選ぶと、同じく名前が挙がった4番・青木が三塁強襲の2点適時打を放つなど、この回一挙5点を奪うビッグイニングを作り逆転に成功する。

その後、試合中盤は互いに点の取り合いとなり主導権争いが続く。

逆転を許した武南は5回、1死から3番・本田が右前安打を放ち出塁すると、その後2死三塁から5番・吉田平が遊撃への適時内野安打を放ち1点差に迫れば、東農大三もその裏、2死から8番・佐藤 亮太(1年)が四球を選び出塁すると、続く町田の遊ゴロを遊撃手がトンネルし2死一、三塁とする。ここで1番・加藤が中前適時打を放ち6対4とする。

武南も6回、1死から8番・平林 翼(1年)が右前安打で出塁すると、2死後、1番・深瀬が四球を選び2死一、二塁とすると、続く鈴木 壘(1年)が中前適時打を放ち再度1点差とする。

だが、6回、東農大三が突き放しにかかる。
この回先頭の長島が四球を選び出塁すると、続く青木のたたきつけた打球が右前へ抜け無死一、二塁とする。5番・高野 晃輔(2年)を迎え、捕逸で無死二、三塁とすると、ここで高野が中前へポトリと落ちる適時打を放つ。続く小柳も左前適時打を放ちこの回2点目、7番・持田も四球を選び無死満塁とする。続く佐藤のところで捕逸2連発で10対5、佐藤もきっちりと犠飛を放つなど、結局この回一挙5点を奪い、6点差をつけ試合の大勢が決した。

投げては3回途中からリリーフした東農大三のエース加藤が粘りの投球で2失点でまとめる。

結局、東農大三武南を11対5で下し3回戦へ進出した。

武南は、エース吉田平が特に中盤以降、捉えられてしまった。指にかかった直球には力があるが、この日も突然、制球を乱したり暴投を連発した。「6回の5失点が大きかった。四球やミスからの失点だったので自滅を失くすのが課題。良い球は持っているが制球の部分ですね。彼には一本立ちして欲しいので」と蛭田監督は、最後まで投げさせた。打線はスタメンの半数が1年生ながら加藤からも7安打を放つなど、この日も2ケタ安打と機能している。それだけに来春までに投手陣の整備をしたいところであろう。

一方の東農大三は、加藤と長島が中心のチームだ。だが、決して彼らに依存するわけではなく、皆で戦う一体感が生まれている。「相手投手はストライクボールがはっきりしていたので、序盤は劣勢になっても我慢して中盤以降粘り強くやってくれた。4回の場面は、ああやって言って加藤と青木に回すぞ、という空気になったのが良かった。皆もその状況を本当に作ってくれたし、2人も切り替えてくれた。加藤は今日の投球について試合後悔しさを滲ませていたので、次までにどう修正してくれるかが楽しみ」と、髙廣監督もしてやったり。次の相手は埼玉栄だが、ともにに打線が上り調子であるだけにエース加藤の投球が鍵となりそうだ。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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