試合レポート

【愛知】3回戦 小牧南 vs 杜若

2023.09.18


SCORE
小牧南
杜若
1234567891011121314
0 0 0 0 0 3 0 0 0
0 0 0 0 0 0 0 1 0
TOTAL
3
1

小牧南が粘り強く守り、夏の8強杜若を下してベスト8に進出

<第76回愛知県高校野球選手権大会:小牧南3-1杜若>◇17日◇3回戦◇刈谷市営

この夏、ベスト8にまで進出した杜若。近鉄などで活躍した実績のある田中 祐貴監督が就任して、チームは着実に力をつけてきた証でもあろう。新チームのスタートは、必ずしもうまく入っていなくて、西三河地区予選では苦戦をしての県大会進出となった。それでも県大会では、名古屋地区の強豪校の星城に競り合いの末勝利し、同じ西三河地区で第1シードとなっていた三好に対しては8対0と快勝しての3回戦進出である。徐々にいい形になっていっているという状態に思われた。

小牧南は、尾張地区の公立校としては安定した実績で県大会進出を果たしている。この秋は、初戦で刈谷工科に競り勝ち、2回戦では同地区の一宮に快勝しての3回戦である。

小牧南は松本 晃征投手(2年)、杜若は背番号10の1年生・長塚 陽太投手が先発。どちらも、制球も良く、しっかりと自分の投球で試合を作っていく。5回まではやや小牧南が押し気味で、4回を除いて毎回安打を放ち、5回には無死で奥村 美空斗外野手(2年)の二塁打が出て、深井 啓稀捕手(2年)も左前打で続いたが、内野ゴロとスクイズと、いずれも本塁を突いたが三本間で挟まれ相次いで憤死。杜若がよく守った。

杜若は、5回まで3安打のみ。松本投手の術中にハマっているという感じだった。試合は、後半勝負という展開になっていったが、6回はともに1番からの好打順となった。杜若の田中監督は、この回から2番手として右横手投げの岩田 海舞投手(2年)を送り出した。

ところが、この継投が結果的には裏目となってしまった。

小牧南は大池 泰造外野手(2年)が三塁への内野安打。続く矢野 正大内野手(2年)は送ると見せかけヒッティングで右中間二塁打で二、三塁。絶好のチャンスとなったが、ここで3番・長谷 健司内野手(2年)が中前打して先取点を奪う。さらに、失策で追加点が入る。ここで、杜若のマウンドは金原 優大投手(2年)となったが、1死一、三塁から、内野ゴロの間に、三塁走者が生還してこの回3点となった。

追いかける形になった杜若だが、なかなか小牧南の松本投手を攻略しきれない。コントロール良くコースを突いてくる投球にハマってしまったというか、打ちあぐねていた。8回にやっと、4番・小林 航外野手(2年)の適時打で1点を返したもののそこまで。小牧南の松本投手は、終始自分の投球だった。

この、松本投手について吉田監督は、「この夏休みの練習で、一番成長した選手と言っていいでしょう。決してスピードボールがあるわけではないのですけれども、制球はいいです。それに、何よりもメンタル面での成長が大きかった」と評価している。そして、その背景としては、夏の大会では3回戦でシード校でもあり大会でもベスト4まで進出する愛知啓成に敗れてしまったのだが、タイブレークにもつれる接戦を演じたことで、下級生たちも「自分たちも、きちんとやって行けば、こういうチームとも戦えるのだ」という意識になったという。そしてそれは、3年生たちが残してくれたいいものだったということである。

公立校であり、必ずしも練習環境に恵まれているわけではない。それに、先週は、3日間休校になってしまっていたということもあって、練習量としても満足ではなかったというのが正直なところのようだ。それでも、自主練習という形の中で、しっかりと意識を持って取り組んでいった結果だったと言えよう。 杜若の田中監督は、「長塚は5回を超えて投げたことがなかったので、継投は捕手と相談して決めた。続投して抑えられたということもあったでしょうが、毎回のように捉えられてもいましたから。試合の作り方としては岩田の方ができるかなと思っていたのですが…」と悔いていた。そして、「夏の成績は一つの自信としてほしい。この日の負けも、またここから学ぶものがあるはず」と、来春以降へ向けて、気持ちを引き締め直していた。

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

関連記事

応援メッセージを投稿

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

RANKING

人気記事

2024.04.26

今週末に慶應vs.横浜など好カード目白押し!春季神奈川大会準々決勝 「絶対見逃せない注目選手たち」!

2024.04.26

【春季四国大会逸材紹介・高知編】2人の高校日本代表候補に注目!明徳義塾の山畑は名将・馬淵監督が認めたパンチ力が魅力!高知のエース右腕・平は地元愛媛で プロ入りへアピールなるか!

2024.04.26

古豪・仙台商が41年ぶりの聖地目指す! 「仙台育英撃破」を見て入部した”黄金世代”が最上級生に【野球部訪問】

2024.04.26

【奈良】智辯学園が13点コールド!奈良北は接戦制して3回戦進出!<春季大会>

2024.04.26

【春季奈良県大会】期待の1年生も登板!智辯学園が5回コールド勝ち!

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.24

春の埼玉大会は「逸材のショーケース」!ドラフト上位候補に挙がる大型遊撃手を擁する花咲徳栄、タレント揃いの浦和学院など県大会に出場する逸材たち!【春季埼玉大会注目選手リスト】

2024.04.22

【和歌山】智辯和歌山、田辺、和歌山東がベスト8入り<春季大会>

2024.04.22

【九州】神村学園、明豊のセンバツ組が勝利、佐賀北は春日に競り勝つ<春季地区大会>

2024.04.23

【大学野球部24年度新入生一覧】甲子園のスター、ドラフト候補、プロを選ばなかった高校日本代表はどの大学に入った?

2024.04.23

【全国各地区春季大会組み合わせ一覧】新戦力が台頭するチームはどこだ!? 新基準バットの及ぼす影響は?

2024.04.05

早稲田大にU-18日本代表3名が加入! 仙台育英、日大三、山梨学院、早大学院の主力や元プロの子息も!

2024.04.02

【東京】日大三、堀越がコールド発進、駒大高はサヨナラ勝ち<春季都大会>

2024.04.12

東大野球部の新入生に甲子園ベスト4左腕! 早実出身内野手は司法試験予備試験合格の秀才!