【鹿児島】準決勝 神村学園 vs 川内商工
神村学園が見極めて12四死球<鹿児島秋季大会>
<第153回九州地区高校野球大会鹿児島県予選:神村学園11-1川内商工(5回コールド)>◇11日◇準決勝◇鴨池市民
夏の甲子園4強の神村学園と、実に1965年以来58年ぶりとなる4強入りした川内商工が九州大会出場をかけて、準決勝を戦った。
先制したのは川内商工。2死一、三塁と好機を作り、5番・肱黒 間太(2年)が左前適時打を放って1点を先取した。
神村学園はその裏、押し出しであっさり同点に追いつき、5番・上川床 勇希(2年)の適時打で勝ち越し、6番・木下 夢稀(2年)がスクイズを決め、3点目を挙げた。
2回は犠飛、3回は押し出しで追加点を重ねる。圧巻は4回。2点を挙げて、なお1死一、二塁と好機が続き、代打・川下 晃汰主将が中前適時打、1番・入耒田 華月(1年)が中越え二塁打、3番・今岡 拓夢(1年)が中越え二塁打で続き、打者11人で大量6点を加えて、一気に勝機を手繰り寄せた。
投げては早瀬 朔、千原 和博の1年生右腕2人の継投で、川内商工打線を初回の1失点のみに封じ、5回コールド勝ちで2季ぶりの九州大会出場を決めた。
「ストライクからボールになる球をしっかり見極めること」。神村学園・小田大介監督は、それを川内商工のエース肱黒攻略のポイントに挙げていた。
今大会、川内商工の4強入りの原動力となった右腕の持ち味は、微妙に動く球を駆使しながら、ボール球で打たせて取る投球。打ち損じてしまうと相手の術中にはまる。その見極めを各打者が徹底し、相手投手陣から12四死球(うち四球10)を選んだ。
制球が定まらない分、球をしっかりとらえたヒットも少なかった中、送りバントを確実に決め、スクイズも使い、そつなく得点を重ねていく。
神村学園らしい強打でようやく点がとれたのが4回だった。代打で登場した川下主将が「代打に必要なのは積極性」と2球目を強振し、イメージ通りの「低くて速い打球」の中前適時打で8点目を挙げると、1番・入耒田、3番・今岡の1年生コンビが長打で続き、一挙6点のビッグイニングを作った。
甲子園4強から1週間あまりで新チームに移行し、最初の大きな目標である九州大会を勝ち取ったが、チームには特別な感慨はない。「何事も経験ですから」が小田監督の口癖。夏からずっと慌ただしい毎日を過ごしていて、準備不足が否めない分、1試合でも多く試合を経験することが何よりも新チームの宝になる。「目の前の一戦
一戦に集中し、気がついたら神宮に行っている」。そんな秋を小田監督は理想に描いている。