【鹿児島】準々決勝 鹿屋農 vs 川内商工
川内商工「初めて1つにまとまれた」<鹿児島秋季大会>
<第153回九州地区高校野球大会鹿児島県予選:川内商工4-3鹿屋農>◇6日◇準々決勝◇鴨池市民
川内商工と鹿屋農。地方県立校同士、4強入り最後のイスをかけた一戦は、川内商工の右腕・肱黒 間太投手(2年)、鹿屋農の左腕・吉元 翔皇投手(2年)の両エースを中心に1点を争う緊迫した好勝負となった。
先制したのは鹿屋農。立ち上がり、1死一塁から3番・前田 一志主将(2年)が左中間を破る二塁打を放って先制し、5番・岩下 遥哉(2年)の右前適時打で2点目を挙げた。
川内商工は3回、2死二、三塁として4番・福上 舷汰(2年)の中前適時打で1点を返す。
4回は1死一、三塁から8番・軍神 慶太朗(2年)がスクイズを決めて同点に追いつく。処理にもたつく間に一走・西園 公祐(2年)が三塁へ進む。捕手からの三塁悪送球となる間に西園が生還して勝ち越し。バックアップした左翼手が後逸する間に打者走者の軍神も生還し、2点のリードを奪った。
鹿屋農は6回、犠飛で1点差に迫る。
終盤は鹿屋農が押し気味に試合を進めたが、川内商工の肱黒が力投。9回も2死から一、二塁と一打同点、逆転のピンチを招くが、最後の打者を三振で打ち取り、1点差で接戦をものにした。
川内商工が接戦をものにして4強最後のイスをつかんだ。「1つ1つのプレー、目の前のことを大事に積み上げて、粘り強く戦ってくれた」と森山健士監督は選手たちの頑張りを称えていた。
大きなヤマ場は4回1死一、三塁の場面。これまでなら打って畳みかけるのがチームのセオリーだったが、森山監督の中に「1点を大事にとる」ことにひらめくものがあり、スクイズを選択。軍神が期待に応えてきっちりバントを決めて同点。さらにはこれが相手のミスを立て続けに誘い、一気に3点を奪って逆転に成功した。
5回以降は追加点を奪えなかったが、エース肱黒が尻上がりに調子を上げ、野手も好守で肱黒を盛り上げ、1点差で逃げ切った。
8月頭に関西遠征を実施。明石商(兵庫)、尽誠学園(香川)など甲子園経験のある名門校の胸を借りたが、大差をつけられて敗戦。「チームの勝ち方が見えなくなってしまった」(森山監督)とお盆前に開催された北薩大会では薩摩中央・鶴翔・川薩清修館の合同チームに勝てなかった。不安を抱えたままで迎えた県大会だったが、勝ち上がるごとにチームがまとまり、準々決勝では出ている選手もベンチの控え選手も全員の声が出ていて「初めて1つにまとまれた」手応えが、髙橋 天優主将(2年)には感じられたという。
4強入りは久々であり、男子バレーボール部やボート部などがインターハイに出場する中「野球部もそれに続いて学校全体が盛り上がる」と森山監督は喜ぶ。本大会では、かつては1962年秋優勝、65年秋準優勝などの輝かしい実績があるが「まだまだ先のことを考える余裕はなく、九州大会などは特に意識していない」と言う。準決勝の相手は横綱・神村学園だが、髙橋主将は「1球1打に集中し、全力でぶつかっていくのみ」と気持ちを引き締めていた。