【甲子園】2回戦 大垣日大 vs おかやま山陽
大垣日大がまさかの悲劇に涙、スキのない走塁でおかやま山陽が3回戦進出
<第105回全国高校野球選手権記念大会:おかやま山陽4-3大垣日大>◇13日◇2回戦◇甲子園
甲子園という舞台は奇跡を作り出す舞台であると同時に、悲劇を生み出す舞台でもある。大垣日大(岐阜)ナインはそれを思い知らされたに違いない。
3対2とリードして迎えた延長10回裏2死満塁。抑えれば勝利、一打許せばサヨナラ負けの局面で、悪夢は起こった。先発してここまで投げ抜いてきた右腕エース・山田 渓太投手(3年)の投じた117球目のスライダーが抜けて、ほとんど曲がらず真ん中高めへ。外角に構えていた髙橋 慎捕手(3年)が曲がらないスライダーにミットが間に合わず後逸する。三塁走者がかえって同点。捕手から本塁への送球がそれたため、二塁走者も本塁へ。ほんの一瞬の出来事だった。歓喜に沸くおかやま山陽ナインの横で、大垣日大のバッテリーがうなだれた。
不思議なもので10回表は、おかやま山陽の土井 研照捕手(3年)の悪送球で1点をもらった大垣日大が、その裏にバッテリーミスでサヨナラ負けした。
緊迫した「ナイターゲーム」は予想もしない幕切れとなったが、おかやま山陽は決して「運」だけで勝利したのではなかったと思う。サヨナラのホームを踏んだ二塁走者・山崎 徠夢外野手(3年)は、捕手が後逸して三塁へ向かうときから、この結末に備えていたのかもしれない。捕手からの送球がワンバウンドになるとみると、加速度を増して本塁へ向かった。「送球が乱れたのを見て慌てて本塁へ」ではなく「もしそうなったら突っ込む」と準備しながら走塁していたに違いない。そうでなければ生まれない得点だった。まさにギリギリの走塁。相手ミスで勝ったのではなく、ミスからくるチャンスを見逃さなかった、おかやま山陽ナインの勝利だったのだ。
無死一、二塁から始まるタイブレークでは一瞬のプレーが勝敗を分ける。そこに向けた「準備」ができているかどうか。それもまた勝敗を分けるカギにもなる。