【甲子園】1回戦 日大三 vs 社
日大三のエース、11年優勝投手から教わったチェンジアップが冴え渡り2安打完封、無失策を記録した守備もハイレベル
<第105回全国高校野球選手権記念大会:日大三3-0社>◇9日◇1回戦◇甲子園
日大三(西東京)のエース・安田 虎汰郎投手(3年)の真骨頂が垣間見えた。
社(兵庫)戦での直球は常時130キロ中盤〜後半程度。西東京大会の神宮球場では140キロを超えた直球はいくつかあっただけにやや控えに見えたが、社打線をしっかりと押し込んで凡フライ、内野ゴロに打ち取った結果を見ると、やはり球は走っていたようだ。
大賀 一徹捕手(3年)も「今日はストレートがしっかりと走っていて、ボールの投げ分けもうまくできていましたので、決め球が生きました」と振り返った。
安田は特に2011年夏の甲子園優勝投手となったOBの吉永健太朗さんから教わった110キロ台のシンカー気味のチェンジアップを決め球とするが、絶妙なキレがあった。打者の手元で鋭く落ち、社の打者からことごとく三振を奪う。この決め球で空振りを奪ったことで、社打線に「追い込まれればチェンジアップがある!」と思わせ、心理的にも優位に投げることができていた。大賀も「社はしつこい打者が多く、嫌らしい打線という印象を受けていました。変化球をうまく攻めることができたのが大きかった」と思います。
シンカーがうまく決まると、カーブ、スライダーも生きて、兵庫大会でじっくりとせめて勝ち上がることが多かった社打線を翻弄。結果として三塁を踏ませない2安打完封勝利となった。
完封勝利の裏で、無失策の守備も光った。日大三は伝統的に強打が注目されるが、走攻守を徹底的に鍛え上げる王道型のチームで、甲子園の舞台でもそれを発揮した。内野手は球際に強い守備、外野手も打球判断が良く、長打になりそうな打球にも追いついていた。左翼を守るスラッガーの針金 侑良外野手(3年)はこう話す。
「甲子園は浜風があり、普段より3メートルぐらい伸びるなという感じです。また冬の強化練習では判断を磨く練習をやってきたのが大きいと思います」
完封勝利の安田は「完封できたのはみんなが守備で助けてくれたからだと思います」とバックの守備に感謝した。
この日は一発こそなかったが、日大三の投球、守備の完成度が見えた。打線も11安打を記録し、3得点にとどまったが、まだ爆発しそうな予感があった。