試合レポート

【甲子園】1回戦 浦和学院 vs 仙台育英

2023.08.06


仙台育英・湯田
SCORE
浦和学院
仙台育英
1234567891011121314
0 0 0 4 0 0 5 0 0
4 0 5 0 1 5 0 4 X
TOTAL
9
19

「こんな試合は想定していなかった」仙台育英・須江監督も驚き!浦和学院との勝負は想定以上の打撃戦に

<第105回全国高校野球選手権記念大会:仙台育英19-9浦和学院>◇6日◇1回戦◇甲子園

浦和学院(埼玉)vs仙台育英(宮城)の注目の一戦は序盤で試合で決着がついた形となった。

初回から連打でチャンスを作り、2死二、三塁のチャンスから5番・齋藤 敏哉内野手(3年)の一塁強襲安打と、6番・鈴木 拓斗外野手(2年)の適時二塁打、7番・尾形樹人捕手(3年)の右前適時打で4対0とする。

3回には尾形の本塁打、先発の湯田 統真投手(3年)の本塁打などで5点を入れ、9対0とした。ここまでは仙台育英のペース。さすが前年夏の甲子園優勝チームと思わせる戦いぶりだった。

先発の湯田が4回に4失点しても、仙台育英は打ち続け、浦和学院のミスもあり6回を終わって、15対4と大きくリードした。しかし、2番手の髙橋 煌稀投手(3年)も打ち込まれ、7回に5失点し15対9とされた。

その後、8回に4点を奪って19対9。終わってみれば10点差をつけた形となったが、大会随一の投手力を誇る仙台育英としては、らしくない試合展開だった。須江監督は「こんな試合になるなんて0.00001%も思っていなかったです。3対1で逃げ切る試合展開にしたかったのですが、湯田も、髙橋もあんなに打たれた試合は初めてでしたし、こんなに点を取れるとは思わなかったです。ラッキーに救われた試合だったと思います。それぐらい浦和学院さんの打撃がすごかったです」

須江監督が話す「ラッキー」とは。

試合開始時間が17時半過ぎになり、1、2試合目と比べると酷暑による試合展開は避けられた。「もう少し早ければうちの投手陣はへばっていたと思います」(須江監督)。さらに1回にはエラーによる1点があるなど、仙台育英打線もよく打ったが、浦和学院の6失策がなければ19得点はなかった。

勝利した喜びよりも反省点が口に出てしまう試合だった。幸いなことに次の2回戦まで間隔が空く。須江監督は「しっかりと修正して、次の聖光学院(福島)さんは百戦錬磨の斎藤監督がいるチームですので、厳しい試合になります。それでも接戦を勝ち抜くように準備したい」と意気込みを語った。

ともに上位進出が期待できるチーム。難しい初戦だからこそ起きた打ち合いともいえるだろう。仙台育英の2回戦は中5日の12日第4試合。この5日間をどう使うか、注目だ。

浦和学院、19失点の大敗も、1、2年生の主軸が活躍を見せ、新チームでも期待を持てる内容!

<第105回全国高校野球選手権記念大会:仙台育英19-9浦和学院>◇6日◇1回戦◇甲子園

今年の浦和学院(埼玉)のテーマは「超速攻」。

前半は仙台育英(宮城)の150キロ右腕の湯田 統真投手(3年)の最速150キロの直球と130キロ前半のスライダーに圧倒され、3回まで2安打無得点に終わっていた。しかし、4回に反撃に出ると「超速攻」で得点を奪った。4番・西田 瞬内野手(1年)の適時打、5番・三井 雄心内野手(2年)の左前適時打、さらに9番・江口 英寿外野手(3年)の2点適時二塁打で一気に4点を奪った。

湯田は最速150キロ、平均球速144.1キロをマークするなど球速は出ていた。球はやや高めに浮いてはいたが、高校生が簡単に捉えられるほどの直球ではない。それでも着実にヒットにした浦和学院打線のレベルは確かに高かった。

7回には、仙台育英のエース・髙橋 煌稀投手(3年)にも襲いかかり、一気に5得点。仙台育英のこの2投手を相手に計16安打を放った。これまでの公式戦でこの2人が打ち込まれる姿は見たことはない。仙台育英の須江監督も「こんなに打たれる姿は見たことがないですね。湯田は単調だったところはあっても、しっかりと打ち崩してきた浦和学院さんが素晴らしかったです」と語る。また積極的な走塁でも相手を慌てさせた。

今年の浦和学院打線の中心は1、2年生だ。2番・月山 隼平内野手(2年)、4番西田、5番三井に加え、遊撃手の石田 陽人内野手(2年)の強肩を生かした守備や粘っこい打撃など、敗戦のなかでも下級生の活躍は目立った。森大監督は「守りのミスも出ました。1回裏、しっかりと守って、0にしていればと思う場面はありましたが、それでも選手はしっかりと食い下がってくれました」と選手たちを称えた。

頼みの投手陣では、練習試合で大阪桐蔭(大阪)を完封した実績を持つ伊藤 充輝投手(3年)が埼玉大会途中で肩の不調を起こし、長いイニングを投げられない状態になったのも1つの誤算だったが、それでもベンチ入り20人中、19人を起用し、全員で戦う姿勢や、強烈なフルスイングで仙台育英投手陣から18安打を記録した姿を見て、伸びしろを感じた。

「鍛え直します」と語った森監督。今年はベンチ外だった1、2年生にも優秀な選手が多いと聞く。次の世代の浦和学院も楽しみだ。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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