試合レポート

【埼玉】準決勝 浦和学院 vs 川越東

2023.07.27


浦和学院・細沢貫道
SCORE
川越東
浦和学院
1234567891011121314
0 0 0 0 0 0 0
1 0 1 3 4 0 X
TOTAL
0
9

浦和学院が川越東を7回コールドで下し決勝へ!

<第105回全国高校野球選手権埼玉大会:浦和学院9ー0川越東(7回コールド)>◇26日◇準決勝◇県営大宮

前の試合の異様な雰囲気を残しつつ迎えた県営大宮球場、準決勝の第2試合はAシード・浦和学院とノーシードから勝ち上がった川越東との一戦。

先発は川越東はエース名取 由晃投手(3年)が連投、一方の浦和学院は今大会初先発、背番号13の長身左腕・細澤 貫道投手(3年)が登板し試合が始まる。

試合は序盤の攻防がその後の展開を大きく左右する形となった。

川越東は初回、立ち上がりボールが先行する浦和学院・細澤に対し、先頭の柴崎 悠里外野手(3年)が四球を選び出塁すると、続く山中 悠生内野手(3年)がきっちりと送り1死二塁とする。さらに2死後、4番・石川 了雅捕手(3年)が三塁内野安打を放ち2死一、三塁とチャンスを広げるが後続が倒れ無得点に終わる。

対する浦和学院はその裏、川越東・名取の立ち上がりを攻め、1死から2番・月山 隼平内野手(2年)が中前安打を放ち出塁すると、暴投で二塁へと進む。2死後、1年生の4番・西田 瞬内野手が右前へ適時打を放ち1点を先制する。

浦和学院は3回裏にも、「名取君がやや立ち直り始めていたのでその心を折るのに効果的な一発」(森監督)と、1死から3番・喜屋武 夢咲外野手(3年)が右翼席へソロ本塁打を放ち2対0とする。

序盤から優勢に試合を進める浦和学院は、4回にもこの回先頭の石田 陽人内野手(1年)が左翼線へ二塁打を放ち出塁すると、続く細澤がきっちりと送り1死三塁とする。ここで9番・江口 英寿外野手(3年)が中前の適時打を放ち3点差をつけると江口は一気に二塁を奪う。

川越東ベンチはここで今大会のシンデレラボーイ・井上 太志投手(3年)へスイッチするが、浦和学院は井上の代わり端を攻め、1番・小林 聖周外野手(3年)が左中間へ適時二塁打を放ち4点目、さらに続く月山の内野ゴロの間に1点を追加するなど、この回3点を奪い試合の大勢は決した。

浦和学院は5回にも1死から5番・河内 蓮太朗内野手(3年)が中前安打を放ち出塁すると、続く篠塚 大雅捕手(3年)が右前安打を放ち1死一、三塁とする。ここで7番・石田がセーフティースクイズを決め6点目を奪うと、続く細澤が右翼フェンス直撃の適時三塁打を放ち7点差をつけコールドペースへと持ち込む。

ここで川越東ベンチは2番手・井上から3番手・津村 佳典投手(3年)へスイッチするが、浦和学院は攻撃の手を緩めず、9番・江口が中前適時打を放つと、続く小林も右前安打を放ち2死一、三塁とする。ここで浦和学院ベンチはダブルスチールを仕掛けると、これが成功し9点差をつける。

投げては、浦和学院投手陣が川越東打線に対し細澤、月野 龍投手(3年)、伊藤 充輝投手(3年)、田中 樹人投手(3年)と4投手による完封リレーを飾る。

結局、浦和学院が7回コールド9対0で川越東を下し3年連続の決勝進出を決めた。

川越東は、序盤こそ先発・細澤の直球を捉えていたが、2回打球が当たった影響で相手の配球が変化球中心に変わったことが結果として川越東打線へマイナスに働いた。打線は獨協埼玉戦以降やや下降傾向にあっただけに、結果論ではあるが、相手を考えるとこの日先攻めということで、特に初回は大会序盤に見せていたようなノーバント攻撃でも面白かったかもしれない。とはいえ力の差はあった。

野中監督は「先取点が取れれば面白かったですが力負け。彼らの力を出し切らせることができなかったのは残念」とは言うものの、表情はどこか晴れやかであった。それもそのはず。昨秋、今春と県大会初戦敗退で今春に至っては5回コールド負けのチームである。むしろ、それを考えると短期間でよくぞここまでまとめあげたなという印象すら受ける。今大会は名取、井上の2人が安定した投球を見せ、打撃面では主に柴崎、首藤 諒祐外野手(3年)、石川、山根がチームを引っ張った。山村学園春日部共栄といった強豪相手に撃破し勢いに乗った。彼らだけでなく例えば今大会サードコーチャーの立石 悠人(3年)は本来控え投手。一番の声を出しチームを活気づけこの日も浦和学院を1回無失点に抑えてみせた。特出した選手のいない今回のベスト4進出は部員全員の力によるものだ。全員に賛辞を送りたい。

一方の浦和学院はこれで全試合2ケタ安打と打線が好調、投手陣も満遍なく使う余裕の戦いぶりで決勝進出を決めた。この日先発で好投した細澤は「緊張しました。2回の打球を足に受けて痛くてパニックになり、次の回から足が踏ん張れず変化球中心にしたのがかえって良かった」と、6年ぶりの公式戦先発を振り返る。

中学時代はケガでほとんど投げられず、浦和学院へ入学にしても自ら挨拶に行き練習を見てもらって受かった言う苦労人だ。最初今大会のメンバーに入っておらず、実は既に引退試合にも登板した投手だ。だが、当初メンバー入り予定の1年生に負けるのが悔しくて、その後も練習などで森監督にアピールし、直前の練習試合・二松学舎大附戦で自己最速の138キロを出すなど好投し滑り込んだ。エース伊藤の状態が芳しくないだけに彼がチームのキーマンになる可能性を秘めている。

これで夏の決勝は3年連続となる浦和学院。決勝の相手は宿敵・花咲徳栄である。埼玉をリードしてきた2強、浦和学院花咲徳栄。秋や春は散々戦ってきているが、実はこの2校が決勝で相見えるのは今回が2回目。前回の第99回大会は浦和学院が蛭間、渡邉、佐野ら、花咲徳栄は清水、西川、綱脇などを擁し強烈な対戦になったことを思い出す。昨年も準決勝で対戦したが、その試合も壮絶な試合となった。

「ここから先は自分達で切り開かなければならない。昨夏は決勝のプレッシャーもあった。序盤の入りが鍵」と、森監督も気を引き締める。今回はどんな対戦となるか。今から楽しみだ。

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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