【東東京】準々決勝 共栄学園vs都立文京
<第105回全国高校野球選手権東東京大会:共栄学園11ー0都立文京(6回コールド)>◇26日◇準々決勝◇神宮
波乱の東東京大会。シード校で残るのは、共栄学園だけになった。共栄学園は、秋は1次予選で敗れたため、苦しみながら得た夏のシードだった。それでも1次予選で敗れた駒大高の川端教郎監督は、相手が強いのであって、自分たちは弱くないと確信をもって練習し、西東京大会の準々決勝で日大三と互角の試合をした。それだけ共栄学園は力があるわけだが、都立文京は2年連続で8強に進出。梨本浩司監督は都立城東の監督として甲子園を経験しているが、東東京の8強の監督のうち、監督として甲子園を経験しているのは梨本監督だけだ。しかも東西東京ともに都立で8強に残ったのは都立文京だけ。都立校の期待を背負っての戦いになった。
都立文京としては昨年の準々決勝で二松学舎大附に初回に8点を失い大敗した記憶がある。それだけに試合の入り方が大きなポイントになっていた。エースの峰尾 賢人投手(3年)も2番手で2年生の水野 耀喜投手も昨年の夏を経験している。先発のマウンドには峰尾が立った。
1回、共栄学園は無死一、二塁から3番・前田 幸毅内野手(3年)が中前安打を放ち1点を先制する。それでも後続を抑え、1点に止めたのは、都立文京としては良しとする内容だった。しかし問題は2回だった。
この回先頭の共栄学園の先発投手でもある7番の茂呂 潤乃介投手(3年)の内野安打に続き、本来3番打者だが、「楽なところで打たせたい」という原田健輔監督の考えで8番になっている横田 優生内野手(3年)の左前安打で一、二塁となったところで、都立文京の投手は水野に代わった。共栄学園の9番・高槗 祐稀外野手(2年)の犠打は失策を誘い、まず1点。1番・笹本 裕樹内野手(3年)の死球に続き、2番・牟田口 逸佳内野手(2年)の内野安打でさらに1点を追加する。続く3番・前田の遊ゴロで一塁手の失策があり1点追加。4番・菊池 虎志朗捕手(3年)の右犠飛で1点。5番・上村 陽大外野手(3年)の左前安打で1点。7番・早川 飛翔外野手(2年)の左中間を破る三塁打で2人が還りこの回だけで7点が入った。
都立文京の水野は、3回以降は立ち直り得点を与えない。共栄学園の茂呂は大量リードを受けて、落ち着いた投球で都立文京打線を抑える。
6回に共栄学園は4番・菊池の2ランなどで3点を追加し11対0の6回コールドが成立した。
「力の差です。相手が予想以上に強かった。8強の壁ですね」と都立文京の梨本監督は言う。都立文京は今大会、2度のタイブレークを勝ち抜いて、都立の最後の1校になった戦いは見事だった。水野ら素質のある2年生が8強の壁に挑むことになる。
勝った共栄学園は、初の準決勝進出だ。厳しい戦いが続くが、エースの茂呂は「走りこんできたので大丈夫です」と語る。
共栄学園は昨年の秋は1次予選で敗れた。冬の間、外で練習せず、ウエートトレーニングに徹する日を作り、食事も、合宿ではないが、朝、昼、晩の3食を学校でとらせ、体づくりから始めた。春季大会の3回戦で國學院久我山を15対8で破り、共栄学園の変化を感じさせるようになった。そしてこの夏の戦いだ。甲子園は見えてきたが、原田監督は「一戦一戦です」と語る。準決勝は岩倉と対戦する。