試合レポート

3回戦 高野山 vs 桐蔭

2023.07.23


昨夏準Vの桐蔭がサヨナラ勝ちで高野山を破る

<第105回全国高校野球選手権和歌山大会:桐蔭6-5高野山>◇22日◇3回戦◇紀三井寺公園

初戦で夏の甲子園に5大会連続で出場中だった智辯和歌山を4対2で下して話題になった高野山。2戦目となるこの日は昨夏準優勝の桐蔭に挑んだ。

高野山の先発は初戦と同じく背番号5の酒井 爽投手(2年)。その酒井に対して桐蔭は1回に二死三塁のチャンスを作ると、4番・淡路 文太内野手(2年)の中前適時打で1点を先制する。

先制点を献上した酒井だったが、2回以降はコースを突く丁寧な投球を見せ、追加点を与えない。桐蔭先発の白川 大晴投手(2年)も走者を出しながらも粘り強い投球で高野山打線を4回まで無失点に抑えた。

4回まで守り合いの試合展開となったが、5回に試合が大きく動く。5回の高野山は安打と相手の失策で無死一、三塁のチャンスを作ると、相手の暴投で同点。さらに無死三塁から2番・寺内 大翔外野手(2年)の左前適時打で勝ち越しに成功する。さらにその後、2死二、三塁となり、6番・鴨島 輝汰外野手(2年)が右翼線に2点適時二塁打を放ち、大きな追加点を挙げた。

3点のビハインドを背負った桐蔭はその裏に2死満塁とすると、淡路の放った打球が左前にポトリと落ちる走者一掃の3点適時二塁打となり、すぐさま同点に追いついた。

桐蔭は6回からそれまで二塁手を守っていた中田 晴斗内野手(3年)がマウンドに上がる。高野山は中田の立ち上がりを攻めて連打で無死一、三塁とすると、1番・浅田 崇人内野手(2年)の中前適時打で勝ち越しに成功した。さらにそこから1死満塁とチャンスは広がったが、4番・酒井の放った強烈な当たりが遊撃手正面のライナーとなり、二塁走者も戻れずにフォースアウト。痛恨の併殺となり、この回は1点止まりに終わった。

これをきっかけに中田は本来の調子を取り戻すと、7回には2死一塁から主将の3番・永岡 里基外野手(3年)が左前安打適時打を放ち、再び同点に追いつく。試合は5対5の同点で最終回の攻防に移った。

9回の高野山は1死から酒井が執念のヘッドスライディングで内野安打を勝ち取るが、後続が続かずに無得点。酒井のヘッドスライディングを見た伊藤周作監督はこれが限界だと悟り、9回からエースナンバーを背負った石井 亨明投手(2年)に継投を決断した。

今大会初登板となった石井だが、変化球の制球に苦しみ、3四球で2死満塁と桐蔭がサヨナラのチャンスを作る。ここで打席に立つのは7番の神崎 優迅内野手(2年)。1ボール2ストライクから外角の直球を捉えると、打球は右前への安打となり、桐蔭がサヨナラ勝ちを収めた。

神崎は「率直に嬉しいです」と人生初のサヨナラ打の感想を語った。勢いのある相手とのシーソーゲームを制し、次戦に弾みが付く勝利となった。

昨年は33年ぶりに決勝進出を果たすも智辯和歌山相手に2対7で敗戦。その時、神崎は「先輩たちよりも上を目指して頑張っていきます」と甲子園出場に向けて決意を語っている。

一方、敗れた高野山の伊藤監督は「守りのミスが出て、それが全て点に繋がってしまいましたね」と4失策の守備面を悔やんだ。酒井は自責点0の好投を見せていただけに取れるアウトを取れていれば、もっと違う試合展開になっていただろう。

ただ、今回のスタメンのうち、1、2年生が7人。新チームは上位を賑わせるチームになりそうだ。「2年生が良い経験をした。来年の夏に向けて良い勉強になると思います」と伊藤監督は彼らの成長に期待を寄せていた。

 

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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