準決勝 仙台育英 vs 東陵
仙台育英、2年連続決勝進出!不動の1、2番が東陵の「秘密兵器」を攻略
<第105回全国高校野球選手権宮城大会:仙台育英8-1東陵>◇22日◇準決勝◇楽天モバイルパーク宮城
仙台育英が、今大会3度目のコールド勝ちで2年連続の決勝進出を決めた。打線は2回までに4点を奪って試合の主導権を握ると、中盤以降も着実に加点し15安打8得点。投げては田中 優飛投手(3年)、武藤 陽世投手(2年)の左腕リレーで1失点に抑え、快勝した。
東陵はエースの前田 直哉投手(3年)ではなく、千葉亮輔監督が「秘密兵器」と位置づける佐藤 和希投手(3年)を先発マウンドに送り出した。仙台育英戦では練習試合も含めて投げたことのない投手で、まさに奇襲作戦だった。
最速は110キロ台で緩い球を武器とする軟投派左腕とあって、初見では苦戦することも予想されたが、攻略には時間を要さなかった。初回、先頭打者の橋本 航河外野手(3年)が追い込まれてから中前に安打を飛ばし出塁する。その後盗塁を決め、2番・山田 脩也内野手(3年)が犠打で送って1死三塁。好機で3番・湯浅 桜翼内野手(2年)が中前適時打を放ち、幸先良く1点を先制した。
2回も上位打線が機能する。1死満塁の好機から山田の犠飛と湯浅の2点適時三塁打で3点を加え、佐藤和をマウンドから引きずり下ろした。エースの前田が登板してからも攻撃の手を緩めず、5回にはチームとして4試合連続本塁打となる7番・尾形樹人捕手(3年)の一発が飛び出した。
昨夏の甲子園以降不動の1、2番は、今大会もともに打率5割を超えるなど絶好調。橋本が「自分がチャンスを広げればうしろに山田と湯浅がいるので点を取りきれる」と胸を張れば、山田も「橋本が出塁して自分が得点圏に進めたり、一発で決めたりして先制点を取れると、いい流れで守りにつなげられる」との自覚を口にする。決勝も初回、1、2番の攻撃に注目だ。
先発・田中は毎回のように走者を出しながらも5回1失点と試合をつくり、2番手の武藤も140キロを超える直球を連発し3回無失点と好投した。1失点は2つの失策が絡んだもの。この試合は普段は使う機会のない楽天モバイルパーク宮城が会場だったこともあり、計5失策を喫した。
失策はロースコアの試合では命取りとなりうる。決勝に向けての課題も見つかり、山田は「明日(決勝)勝たなければ甲子園にはいけない。足元を見つめ直して、一丸となって全力で戦う」と気を引き締めていた。
2年連続の甲子園切符まで、あと1勝。歓喜の瞬間はすぐそこだ。
(取材=川浪康太郎)