3回戦 近江 vs 高島
近江が8回コールド勝ちで8強進出
<第105回全国高校野球選手権滋賀大会:近江7-0高島(8回コールド)>◇21日◇3回戦◇マイネットスタジアム皇子山
5大会連続で夏の甲子園出場を目指す近江が8回コールド勝ちで8強入りを決めた。
近江の先発は宮川 陽輝投手(3年)。「緊張していてコントロールに苦しみました」と1、2回は得点圏に走者を背負うが、何とか無失点で切り抜ける。すると、「4、5回から自分のピッチングができた」と尻上がりに調子を上げ、決め球のチェンジアップを武器に4回、5回を三者凡退に抑えた。
宮川の粘りに応えたい近江打線だったが、主将の横田 悟内野手(3年)は「チームとして緊張の雰囲気が見られる場面が多くあった」と振り返ったように得点圏であと一本が出ない状態が続く。高島先発の藤原 大樹投手(3年)は上手投げと横手投げの2種類の投球を駆使し、緩急を使った投球で近江打線を翻弄した。
重い雰囲気を払しょくしたのは主将のバットだった。5回に1死から4番・山田 修斗内野手(3年)が右前安打で出塁すると、「後ろに繋げば点が入ると思っていた中で風にも乗ってくれた」と打球はセンターの頭上を越える適時三塁打となり、ついに先制点を挙げる。
さらに続く6番・中川 慶信内野手(3年)の中前適時打で1点を加えると、1死一、三塁から8番・塚脇 柊太捕手(3年)のスクイズで追加点を挙げ、この回で3点のリードを奪った。
この流れを加速させたのが6回から登板した2番手の北川 凌佑投手(2年)。自己最速タイとなる135キロをマークするなど、力のある直球で高島打線を抑え込む。「守りから攻撃へのリズムができた」(多賀章仁監督)と3回1安打無失点の好投で流れを引き寄せた。
これで勢いの付いた近江は6回に1死二、三塁から横田の中前2点適時打で追加点を挙げる。8回には無死三塁から3番・中村 駿介内野手(2年)の中前適時打で1点を加えると、最後は1死一、二塁から中川の左前適時打で7点差となり、コールド勝ちを決めた。
「なかなか決定打が出ずに重たいゲームでした」と多賀監督は振り返ったが、先制してからの試合運びは流石と言ったところだろう。投手陣は昨年の山田 陽翔投手(現・西武)のような大黒柱は不在。登録された6人の投手で継投していくのが今年のパターンだ。ここまでの2試合では15回1失点と安定しており、日程が詰まっていく後半戦で選手層の厚さは武器になってくるだろう。
敗れた高島も選手11人ながら2勝を挙げ、中盤まで近江と互角に戦う健闘ぶりを見せた。「2勝できたことは色んな意味で大きかった。人数が少ないところにも元気を与えられたかなと思います」と馬場義人監督。彼らの戦いは少人数で戦う県内の他校にも大きな刺激になったことだろう。
3年生が引退すると選手が7人しかいなくなる。秋の大会はこれから話し合って方向性を決めるそうだが、選手たちが納得できる形で大会に挑んでほしい。
取材=馬場 遼