3回戦 常葉大菊川 vs 静岡市立

常葉大菊川が前半は苦しみながらも、後半に切り替えて静岡市立を振り切る

＜第105回全国高校野球選手権静岡大会：常葉大菊川6－3静岡市立＞◇21日◇3回戦◇県営草薙

春5回、夏6回の甲子園出場経験がある常葉大菊川。2007年春には全国優勝を果たし、2008年夏にも全国準優勝を果たした実績がある。昨秋の県大会でも優勝し、東海大会で準優勝となりセンバツ出場を果たしている。春季大会もベスト4に進出してシード校となり、今大会でも、優勝候補の一角に挙げる声も多い。鈴木 叶捕手（3年）も注目の存在となっている。

そんな常葉大菊川に挑む静岡市立は、かつて春1回、夏2回の甲子園出場実績がある。今春の県大会も3回戦に進出している。この夏は沼津工と富士市立を下しての3回戦進出である。

試合はいきなり初回から動いた。常葉大菊川は四球と安打で無死一、二塁として好機を迎えたが、3－6－1という形の併殺になって2死三塁。先制機を逸したかと思われたが、ここで静岡市立に暴投が出てしまって常葉大菊川は幸運な先制点を得た。

しかしその裏、静岡市立も1死から2番・水戸 陸斗内野手（3年）の左前打が出て、暴投で一気に三塁まで進む。3番・望月 遥翔外野手（3年）のスクイズで同点となり、送球ミスもあって打者走者も生きる。さらに四球で塁を詰め、5番・通清水 煌大内野手（3年）の左前適時打で逆転した。

それでも、流石に常葉大菊川はすぐに2回、大会前に登録変更で入った185センチの大型1年生の橘木 千空内野手（1年）が右越え三塁打して、内藤 大輝投手（3年）の犠飛でかえって同点。そして、4回には1死二塁から鈴木叶に代わってこの日は先発マスクを被っていた佐藤 稜太捕手（3年）の二塁打でリードを奪う。だが、食い下がる静岡市立も5回に2死二塁で水戸が左翼線二塁打を放って同点とした。こうして、5回を終えて3対3の同点となった。常葉大菊川としては、ここまで5イニングのうち、ライナーでの併殺も含めて4併殺があった。これは、さすがにベンチの石岡諒哉監督としても、いささか歯がゆいところではなかろうか。

それでも、整備後の6回、常葉大菊川は5安打を集中して静岡市立の長坂 洸輔投手（3年）以下、下手投げの高木 勇佑投手（3年）、さらには山下 大輝投手（3年）を攻略して2点を奪って、再び試合の流れを取り戻した。

今年から、夏の大会はクールダウンタイムを設けるということで、5回終了後はグラウンド整備も含めて10分の時間が設定されている。ラグビーなどのハーフタイムのような感覚にもなるのだけれども、ここでもう一度流れが変わることもしばしば起きる。そういう意味では、6回の攻防は大事になってくる。常葉大菊川は、そこを巧みに利用したとも言えようか。

そして、常葉大菊川のマウンドは6回からはエースナンバーの久保 綾哉投手（2年）で、鈴木叶もこの回からマスクを被った。こうして、6回以降の静岡市立を0に抑えて、9回には1死二、三塁から犠飛でさらに1点を追加して、前半に苦しんだ試合だったが、何とか後半に切り替えて逃げ切った。

石岡監督は、「流れの悪い試合だったけれども、こういう試合でも夏の大会は勝ち切ることが大事。いくらかツキもなかった部分もあったけれども、四球やミスがあったことは、これからの修正していく課題にもなっていく」と、苦しい戦いの勝利に引き締めていた。

取材＝手束 仁