出水中央vs樟南二
樟南二円陣
樟南二が7回裏、意地のコールド阻止
<第105回全国高校野球選手権鹿児島大会:出水中央11-2樟南二>◇13日◇3回戦◇平和リース
出水中央は初回、1番・植村 輝(3年)、2番・濱島 琉生(3年)の連続三塁打で先制し、4番・齋藤 凌(3年)の犠飛で2点目を挙げた。
樟南二もその裏、4番・上野 晴大(2年)の左前適時打で1点を返す。
出水中央は3回に1点、5回に3点を追加し、ジリジリと点差を広げる。7回には9番・牛島 翔斗(3年)の中前適時打、3番・德田 怜雅(3年)の一塁強襲内野安打で2点を加え、点差を7点とした。
その裏、樟南二は1番・山田 琉ノ介(2年)の中前適時打で1点を返し、コールドを阻止したが、出水中央は8回にも集中打で3点を追加し、8回コールド勝ちした。
7回2死一、二塁、点差は7点。ここで点が入らなければ樟南二のコールド負けが決まる。
「3年生の中井(太陽)さんの代打の1年生が打ってつないでくれて、後には主将の荻田さんがいる。めちゃくちゃ緊張しました」
2年生リードオフマンの山田は言う。それまで無安打だったが、緊張した分、集中力も高まり、中前適時打で意地の1点を返した。「お前たち、本当にすごいぞ!」と我那覇悟志監督もたくましく成長した選手たちの姿に思わず声が出た。
打たれるのは構わない。とれるアウトを確実にとり、最少失点で切り抜ける。攻撃では盗塁、エンドランなども絡め、積極的に攻める。相手は格上のシード校だったが、中盤6回までは意図した通りの野球ができていた。
「先制されたけど慌てていなかった。みんな最後まで声が出ていて元気があった」と荻田 正輝主将(3年)。打撃では初回に1点を返す口火となる中前打を放ち、遊撃手の守備では、二遊間に抜ける打球をダイビングキャッチしアウトをとるなど再三の好守でチームをけん引した。
これまで負けるときは5回で終わることがほとんどだったのが「強豪相手に8回までやれた」ことに荻田主将は満足感を覚えた。9回までやることは叶わなかったが「テーマにしていた今持っているものを出し切ることはできた」(我那覇監督)。
2年前の夏、3年生が抜けてから部員が荻田主将1人になった時期もあった。現2年生9人の加入で昨夏の単独出場が叶い、この夏は1年生も加わった部員16人でチーム史上初となる夏2勝を挙げることができた。「投手が四死球を出さず、守備でミスがなければ、強豪とも勝負ができる」(山田)とこの夏、示したことは、残る1、2年生への貴重な「贈り物」となったはずだ。
取材=政純一郎