英明・寿賀 弘都、日大三戦の悔しさバネに勝負の夏へ
それはセンバツで躍動した最速144キロ左腕にとって、にわかに信じたくない現実だった。
6月10日に日大三(西東京)を迎え開催された「令和5年度香川県高等学校野球連盟招待試合」。英明の先発マウンドに立った寿賀 弘都投手(3年)は先頭から3連続四球を与えると主将で4番の二宮 士内野手(3年)には2点打を浴び、さらに死球と適時打を打たれ1死も取れず打者6人、21球で降板。後続も打たれ失点、自責点は6で終わる。その後の打席では4打数3安打2打点と非凡なセンスは示したものの、「ドラフト候補左腕」としてのブランドは大きく後退せざるを得ないものだった。
「悔しい思いをしました」
そんな寿賀に手を差し伸べたのは香川 純平監督である。「身体を使って投げることができず、置きに行っていた」日大三戦での課題を見極めた上でランニングやブルペン投球で身体のキレを出すことをアプローチ。「練習から全力で身体を動かす」に寿賀自身も集中したことで、徐々に本来の投球が戻ってくることに。
迎えた夏。丸亀戦の8回にマウンドへ上がった寿賀は、日大三戦と同じマウンドで躍動する最速143キロの直球と120キロ台後半のスライダーで力強く3者凡退で2奪三振。さらに寿賀の姿を見た某球団スカウトが「身体のキレもあるし、投げっぷりがいい」と評したように、ねじ伏せる迫力がそこにはあった。
「チームとしても個人としてもこの夏にかけているので、一日一日を無駄にせず全力で思い切りやりたい。そうなったら道は開けてくると思います」
その道とは、宿敵・高松商を破っての12年ぶり夏甲子園。そしてかねてから「目指している」と語っている高卒プロ入りである。
丸亀戦の8回裏に登板し最速143キロ・1回2奪三振無失点の英明・寿賀弘都(3年)
丸亀戦では4番中堅手で先発・8回表に2点二塁打を放った英明・寿賀弘都(3年)