東陵vs東北生文大
9回11奪三振完封勝利を挙げた東陵・前田直哉
春4強の東陵が初戦突破!東北生文大高も昨夏のコロナ辞退乗り越え善戦
<第105回全国高校野球選手権宮城大会:東陵2ー0東北生文大高>◇10日◇1回戦◇石巻市民
東陵と東北生文大高による一戦は、今大会の1回戦の中でも屈指の好カード。大方の見方通り接戦となったが、今春県4強の東陵が2点のリードを守り切り、2回戦に駒を進めた。
0対0で迎えた4回、東陵は3安打で1死満塁の好機をつくる。打席には公式戦で初めてスタメンマスクをかぶった7番・沼田 和丸捕手(2年)。追い込まれてから右前に落ちる技ありの安打を放ち、これが試合の均衡を破る先制適時打となった。さらに続く中村 蓮内野手(3年)の犠飛で加点し、この回2点を奪った。
投げては、エース左腕・前田 直哉投手(3年)が快投。初回から走者を出しながらも本塁は踏ませず、9回11奪三振完封勝利をやってのけた。6回以外は毎回奪三振を記録。決して三振を取ることにこだわっているわけではないが、今春の経験が生きているという。
今春の県大会は準々決勝の仙台南戦で完封勝利を挙げるなど、4強入りに貢献。しかし、東北大会出場をかけた仙台一との3位決定戦では先発し好投した一方、タイブレークの11回、無死満塁の場面で犠飛を許しサヨナラ負けを喫した。
「あそこで三振を取れていれば…」。反省を生かし、要所では狙って三振を取りにいく投球術を身につけた。この日はキレのある直球と変化球をうまく使い分け、ピンチを迎えても三振で切り抜ける場面が多々見られた。実力校との初戦で「自分らしい投球ができた」と手応えを口にしたエースが、今夏こそチームを頂点に導く。
東北生文大高は昨夏、県大会の途中でチーム内に新型コロナ感染者が多数出たことから、3回戦で出場辞退を余儀なくされた。それだけに今大会にかける思いは強く、先発し8回途中2失点と好投した菅井 勇毅投手(2年)や、主将の千葉 凛夜内野手(3年)を中心に堂々たる戦いぶりを見せた。「去年の3年生の思いを背負って戦ってくれた。ナイスゲーム」。試合後、新チームから指揮を執る伊藤久志監督は、目に涙を浮かべながら選手たちに賛辞を贈っていた。
(取材=川浪康太郎)