高島vs大津
最後の打者を打ち取りガッツポーズを見せる藤原大樹(高島)
選手11人の高島が逆転で5年ぶりの夏勝利
<第105回全国高校野球選手権滋賀大会:滋賀高島8-3大津>◇8日◇1回戦◇マイネットスタジアム皇子山
選手11人の高島が逆転勝ちで5年ぶりの夏の大会白星を挙げた。
序盤に流れをつかんだのは大津だった。1回に主将の1番・富田 一樹(3年)が右中間への三塁打でチャンスを作ると、1死後に3番の久保 颯也(2年)が「甘い球は絶対に打ち返そうと思っていました」と内角の直球を弾き返し、公式戦初本塁打となる2ランで先制点を挙げる。
さらに大津は2回にも1死一、二塁から久保が遊撃手のグラブを弾く適時打を放ち、1点を追加。先発の土井 将靖(2年)もテンポの良い投球を見せ、完全に試合の主導権を握ったかのように思えた。
だが、高島に動揺はなかった。「ミスが絡んでの失点ではないから気にする必要はない」と馬場義人監督は選手に声をかけ、投手の藤原 大樹(3年)も尻上がりに調子を上げて3回以降は追加点を許さない。守備も無失策で藤原を助け、反撃の機会を伺っていた。
6回まで高島打線を3安打無失点に抑えていた土井だったが、「前半に飛ばしすぎて後半に球が浮いてきました」と7回に入って制球に乱れが生じる。7回の高島は2死から安打と2四球で満塁のチャンスを作ると、9番・粟津 健太郎(3年)が左前に安打を放つ。さらにこの打球を大津の左翼手が後逸。その間に3人の走者が生還して同点に追いついた。
これで勢いに乗った高島は8回に1死三塁から「意地でも外野まで持っていって、三塁ランナーを還そうと思っていました」と4番・講殿 悠太(2年)の左前適時打で勝ち越しに成功。9回にも4点を加えて勝利を大きく引き寄せた。
大量援護をもらった藤原は9回に2安打を浴びて一、二塁のピンチを招いたが、ここも踏ん張って無失点。16安打を浴びながらも163球で3失点完投勝利を収めた。
高島の公式戦勝利は2019年春以来。ここ数年は部員不足に悩まされ、秋季大会を辞退することもあった。その中でも部員の多い高校と対等に戦えるチームを作ってきたが、終盤に逆転されることが多かった。それがこの日は今までと真逆の勝利。「秋から終盤の守備や攻撃を意識していたので、そこが出たと思います」と藤原は胸を張った。
「粘り勝ちです。少人数でもやれるのを見せられた」と久しぶりの勝利の味をかみしめた馬場監督。これまで公式戦の勝ちを知らなかった選手たちにとっては大きな1勝になるだろう。主将の東村 慈政(3年)は「開幕戦で勝てたことを自信にしていきたいです」と次戦に向けて気持ちを新たにしていた。
(記事=馬場 遼)