日大鶴ヶ丘vs武蔵村山
2回日大鶴ケ丘・小針大輝三塁打を放つ
日大鶴ケ丘コールド発進! 都立武蔵村山は前半善戦するも中盤から四球と失策で自滅
<第105回全国高校野球選手権東東京大会:日大鶴ヶ丘13ー3都立武蔵村山(6回コールド)>◇8日◇1回戦◇神宮
今年は4年ぶりにベンチ入りの選手も含めて行進した開会式が終わった直後の西東京大会の開幕戦。試合に先立ち、東村山市立東村山第七中学の投手・山賀楓真、捕手・清田龍之介のバッテリーで始球式が行われた。
日大鶴ヶ丘はノーシードながら、シード校と遜色ない力がある強豪だ。しかし開幕戦となると、勝手が違う。ベテランの萩生田博美監督は、「独特ですね。気持ちの上で入っていくのが難しい」と語る。
そんな日大鶴ヶ丘の立ち上がりを、都立武蔵村山が突く。1回、1番・平井 大雅内野手(3年)の中前安打に続き、3番・斉藤 昇映内野手(3年)の打球は左翼席に飛び込む2ラン本塁打になった。「振り切りました。スタンド・インのホームランは初めてです。ベンチに戻ると、みんなびっくりして、喜んでくれました」と語る。
その裏日大鶴ヶ丘は、走者は出すものの、併殺打もあり得点できない。それでも2回に、5番・小針 大輝内野手(2年)の三塁打をきっかけに、四球や失策もあり、犠飛を絡めて3点を入れて逆転する。
都立武蔵村山も粘る。3回2死から前の打席で本塁打の斉藤が右前安打を放ち、すかさず二盗。4番で先発投手の宮崎 誠投手(3年)の内野安打で斉藤が生還して、同点に追いつく。日大鶴ヶ丘の先発・比江島 幹投手(3年)は、背番号3ながらも投手陣の柱の1人であり、球威もある。それでも都立武蔵村山は必死に食らいつき、日大鶴ヶ丘を苦しめる。
3回、日大鶴ヶ丘は、3番・木嶋 康太外野手(3年)の右前安打に、2つのバントが内野安打になり1死満塁のチャンスになる。ところが7番・小原 惇矢捕手(2年)は投ゴロ。併殺打になり、勝ち越せない。
こうなると、都立武蔵村山のペースになりそうなものだが、強豪相手の戦いは、徐々に都立武蔵村山を追い込んでいく。4回日大鶴ヶ丘は、1番・西川 優大外野手(3年)の二塁打に、四死球3、失策2も重なり、4点を入れる。5回にも1点を入れると、都立武蔵村山も限界に近づいていた。
6回日大鶴ヶ丘は、9番・比江島、3番・木嶋の二塁打などで一挙に5点を入れ13対3と10点差になり、6回コールドが成立した。
安打数は日大鶴ヶ丘は11本、都立武蔵村山は7本と、日大鶴ヶ丘が上回っているものの、10点の差ほどではない。しかし与四死球は日大鶴ヶ丘の比江島が1であるのに対し、都立武蔵村山は先発の宮崎、最後に少し投げた斉藤と合わせて10。失策も日大鶴ヶ丘は0だったが、都立武蔵村山は6もあった。都立武蔵村山の井上雅章監督は、「フォアボールとエラーが多すぎました。守備は鍛えてきたつもりでしたが」と肩を落とした。バントでも、打球を止める技術など、やはり強豪校との違いがあった。そうした違いが、都立武蔵村山の選手にダメージになったようだ。それでも、神宮球場で試合をしたことを貴重な経験だ。東京で最初に夏を終えたチームは、こうした経験を糧に、1、2年生は秋に向けてチームを作る。
日大鶴ヶ丘は、序盤は苦しんだが、後半に突き放した。序盤の苦戦について萩生田監督は、「こういうこともあるかと思いました。チームを締めるには、逆に良かったかもしれません」と語る。日大鶴ヶ丘は、2回戦は都立調布南と対戦し、勝てば八王子と対戦する。かなり厳しいブロックに入っているが、一戦一戦、しっかり戦っていくしかない。
取材=大島 裕史