鹿児島高専vs喜界
喜界、「1球の怖さ」を知った夏
<第105回全国高校野球選手権鹿児島大会:鹿児島高専5ー3喜界>◇5日◇1回戦◇鴨池市民
鹿児島高専は1回、2死から四球で出塁し、4番・渡邉 裕太(3年)の中越え二塁打で先制した。
1点を追いかける喜界は5回、先頭の5番・住友 晴哉(3年)が左越え二塁打で出塁。7番・正木 鉄生(3年)の右前適時打で同点に追いついた。
6回には3番・山本 虎士朗(1年)が四球で出塁し、4番・住友 晴城主将(3年)の右中間二塁打で勝ち越した。
その裏、鹿児島高専は2つの四球と安打で満塁とし、4番・渡邉の犠飛で同点に追いつくと、続く5番・晴 恭之介(2年)がフルカウントから左翼席に3ランを放って再びリードを奪った。
8回、喜界は6番・美島 龍真(3年)の左前適時打で2点差と迫る。
鹿児島高専は5回途中からリリーフした1年生右腕・今釜 桜乃介が好投。9回を無失点で切り抜け、接戦をものにした。
喜界の住友晴哉・晴城の双子バッテリーにとっては痛恨の6回だった。
6回、同点に追いつかれてなお1死一、二塁のピンチ。フルカウントから5番・晴に3ランを浴びた。「四球で走者を出してしまったので、ど真ん中で思い切り勝負しようとしたのが、高めに浮いてしまった」と弟・晴哉。リードする兄・晴城主将は「自分の球種ミス。晴哉の球威に頼りすぎてしまった」と唇をかむ。「1球の怖さを思い知らされた」(晴哉)ほろ苦い思い出となった。
小1からソフトボール、中学は軟式野球、ずっと一緒に続けていた。1つ上の先輩から「島を野球で盛り上げよう!」と声を掛けられ、島に残って野球を続ける道を選択。3年間「いろんなことがあった」。昨秋は台風の影響で試合当日に鹿児島入りし、開始時間を遅らせてもらって試合をした。この春は単独でチームが組めず、鶴翔、奄美、古仁屋の4校合同で出場。思い通りにいかないことの方が多かったが「人数は少ないけど、みんなで協力して乗り越えてきたことが楽しい思い出」と晴哉は胸を張る。
5回は晴哉が同点の口火となる二塁打を放ち、6回は晴城が勝ち越しの二塁打を放った。3ランの直後にマウンドに上がった晴城は「よくも晴哉のボールを打ちやがったな!」という悔しさを球に乗せて、追加点を許さなかった。打って、投げて、走って、文字通り「バッテリー=原動力」としてチームをけん引し続けた。
「大学に進学して野球を続けたい」と晴城は言う。叶うものなら「晴哉とは別のチームになって対戦してみたい」と密かに考えている。
取材=政 純一郎
鹿児島高専円陣
喜界・住友兄弟
喜界・住友哉
喜界1点目
喜界1点目
喜界2点目
喜界2点目
喜界本塁アウト●
喜界円陣
鹿児島高専2点目
鹿児島高専5点目・晴3ラン
鹿児島高専5点目・晴3ラン
鹿児島高専・今釜