東京六大学選抜vs北関東選抜
近野歩飛と中川海
163センチの快速右腕、大学から投手を始めた140キロ左腕が好投 神奈川選抜は敗れるも爪痕残す
<体育会ナビカップ 関東JUNKOオールスター大会2023:東京六大学選抜5ー0神奈川選抜>◇1日◇予選リーグ◇福島・さつき公園第一野球場
関東JUNKOオールスター大会2023が6月30日に開幕した。関東大学準硬式野球連盟に所属する5リーグそれぞれで選抜メンバーを編成し、各選手の交流とともにNo.1を決める大会。1日は予選が行われたが、東京六大学選抜が北関東選抜に続き、神奈川選抜にも勝利した。
東京六大学選抜は8回に4点を記録するなど、終盤に集中打を見せる強さを発揮したが、神奈川選抜も7回までは0対1の接戦を演じてみせた。
原動力になったのは、神奈川大のWエース・近野 歩飛投手(3年=橘)、中川 海投手(4年=橘)である。
「フォームの安定性には自信があるので、逆にフォームをあまり意識しない」という右スリークォーターの近野は、身長163センチと上背そのものは決して大きくないが、大きなテークバックを取るなど、ダイナミックなモーションから、キレのいい球を投げる。東京六大学選抜を4回まで無安打に抑え込むなど、先発として十分な役割を果たした。
これまでずっと投手で、気になる変化球があれば果敢に挑戦するなど投球に対する好奇心は旺盛で「試合で投げるのが好きです」と話すほど。私生活でも寝るところに球があり、寝る前に触ってしまうというくらい。最速139キロとスピードで勝負するには少し難しいが「スピードよりもキレをずっと大事にしている」と空振りが奪える直球を常に求め続け、勝てる投手になろうと意識している。
橘時代の先輩がいて、ケガをしたこともあり準硬式の道に進んだが、「色んな大会に参加することで、様々な人たちと交流ができている」と充実の表情を浮かべる。
そんな近野の後ろを継いで登板した「先輩」である中川は、力投派タイプの投手。橘時代に比べ体重が増え、がっちりとなった体型を使って、重みのある速球を次々と投げる。エラーなども絡んで、ヒット1本で1失点してしまったが、最速140キロを計測する直球を軸に、東京六大学選抜に挑んだ。
橘時代は主に一塁手、もしくは外野手だったが、神奈川大へ進学して準硬式を始めてから本格的に投手になった。野球肘になったこともあり、準硬式では直球は122キロくらいと、順風満帆なスタートではなかったが、フォームを変えたことで大きく成長できた。
「元はインステップしたところからスリークォーターで投げる横回転のフォームだったんですが、オーバースローで縦回転に変えたんです。インステップを直しつつ、ステップ幅を広げるようにしたことで、フォームを覚えることができました」
当時は、オーバースローに修正しているタイミングだったことも重なり、足元を見直してフォームをしっかりと修得することができた。さらに体重増加もプラス材料となり、球速を18キロもアップさせることに成功し、最速140キロまでたどり着いた。
「公立校出身でも活躍できる環境があるぞ」と最後はメッセージをもらったが、中川自身は3年生の時には主務の役職も任されるなど、主力投手でありながら、チーム運営にも携わった苦労人だ。
163センチの小さき右腕、さらに大学準硬式から本格投手となった140キロ左腕などを擁する神奈川大。秋のリーグ戦以降の戦いが楽しみである。