仙台商vs仙台一
仙台商逆転勝ちで14大会ぶりの東北大会出場決定 決勝で一昨年夏以来の仙台育英撃破へ
逆転の適時二塁打を放った仙台商・佐々木康介
<春季高校野球宮城県大会:仙台商5-2仙台一>◇27日◇準決勝◇石巻市民
準々決勝で強豪・東北に勝利した仙台商が仙台一との公立校対決を制し、2007年以来、14大会ぶりの東北大会出場を決めた。エース右腕・阿波 壮汰投手(3年)はテンポの良い投球で凡打の山を築き、9回4安打2失点完投。打線は先制を許すも4回に逆転し、中盤以降は試合の主導権を握った。
3回まで1安打無得点と鳴りを潜めていた仙台商打線。先制された直後の4回、3番・菅野 琉心外野手(3年)が右翼線への二塁打を放ち反撃ののろしを上げる。その後1死一、三塁となり、打席に6番・佐々木 康介内野手(2年)が入った。
スクイズも考えられる場面だが、下原俊介監督は迷わず強攻サイン。「去年の秋に比べて、冷静に打席でボールを見極め好球を打てるようになったところに成長を感じる。今大会は(佐々木が)こういうゲームの時に確実に打ってくれていた」と信頼は厚かった。佐々木は「最悪外野フライ(犠牲フライ)でもいい」と思い切りバットを振り、結果的に打球は左中間を破る逆転の2点適時二塁打となった。
高校のある仙台市から約40キロ離れた古川市が地元だが、新幹線で通学しながら野球に打ち込む日々を送っている。中学3年生だった一昨年の夏、県大会で仙台商が仙台育英から金星を挙げた試合を観戦し、進学を決めた。28日の決勝では、その試合の舞台となった[stadium]石巻市民球場[/stadium]で仙台育英と対戦する。
昨年の県大会は、夏秋連続で仙台育英に敗退。佐々木は計4打席4三振と辛酸を舐めており、「初めて対戦して、自分の力のなさを痛感した」と振り返る。2試合ともに先発した阿波ら、他にも悔しさを味わった選手が多数いるだけに、東北大会出場を決めているとはいえ決勝にかける思いは強い。
一方の仙台一は6回以降2番手・安藤 舜投手(2年)が無失点に抑えるなど奮闘したものの、5失策が響き敗れた。第3代表の座をかけ、東陵との3位決定戦に臨む。「うちはチャレンジャー。なんとか食らいついてベストゲームにしたい」(千葉厚監督)。気持ちを切り替え、1985年以来、36大会ぶりの東北大会出場をつかみにいく。
(取材=川浪康太郎)