綾羽vs立命館守山
綾羽が立命館守山に逆転勝利!最速146キロ右腕・野川の好リリーフで流れを呼びこむ
最後の打者を空振り三振に仕留めてガッツポーズを見せる野川新(綾羽)
<春季高校野球滋賀県大会:綾羽6-5立命館守山>◇4日◇準々決勝◇HPLベースボールパーク
綾羽が昨夏に敗れた立命館守山に逆転勝ちでリベンジ。4強入りを果たし、夏のシード権を獲得した。
立命館守山の先発はエース左腕の加藤 優牙投手(3年)。昨夏の準決勝で綾羽相手に3失点完投勝利を収めている。綾羽にとっては嫌な印象が残る相手だが、1回にいきなり1番の居川 勇登(2年)が右前安打で出塁すると、暴投で二塁に進塁する。2番・熊木 悠斗(3年)の打球は平凡な左翼への飛球になったが、これを左翼手の中西 一貴(3年)が落球。さらに送球が乱れる間に居川が生還して綾羽が先制点を挙げた。
立ち上がりに先制を許した加藤だが、それ以降は安定した投球を見せる。スピードガンの表示は120キロ台だが、回転数の良い球を投げ込み、綾羽に本来の打撃をさせなかった。
綾羽先発の右腕、武村 晴輝投手(2年)は130キロ台前半の直球をコーナーに投げ分ける。走者を出しながらも丁寧な投球で4回まで無失点に抑えた。
しかし、5回に試合が動く。立命館守山の先頭の9番・加藤が中前安打で出塁すると、1番・小畑 颯諒(3年)が四球を選んで一、二塁。さらに2番・中西が三塁にバントヒットを決めて、無死満塁のチャンスを作った。
この場面で3番・熊井 啓太(3年)が右前適時打を放ち、同点に追いつく。すると綾羽は武村を諦め、最速139キロ右腕の川那辺 葵斐投手(3年)をマウンドに送った。しかし、4番・田中 暖人(2年)に詰まらせながらも右前適時打を浴びて勝ち越しを許すと、そこから3つの押し出し四球を献上してこの回5失点。一気に劣勢に立たされた。
この嫌な流れを変えたのが3点ビハインドの7回から登板したエースの野川 新投手(3年)だ。「1番を背負っているからには、絶対に0で全ての回を終わらせないといけないと思って投げました」と最速146キロ右腕は快調な投球を披露。この日は球場のスピードガンで143キロを計測し、曲がりの大きなスライダーも冴えた。
野川は7回の立命館守山の攻撃を3人で片付けると、その裏には5番・櫻井 伯斗(3年)の右犠飛で1点を返した。
さらに綾羽は8回、先頭の7番・池田 龍成(3年)が出塁したところで、立命館守山が加藤から浅野 創太郎投手に継投。綾羽はその後、1死一、二塁とチャンスを作ると、居川の適時二塁打で1点差とする。
さらに熊木が四球を選んで1死満塁となったところで、立命館守山は最速140キロ右腕の杉本 倫太郎投手(2年)を投入。必勝態勢に出たが、ここで3番・北邑 流星(2年)が左翼線に2点適時三塁打を放ち、逆転に成功した。
9回の野川は2死から四球で走者を出したが、最後の打者を空振り三振に打ち取り、リードを守り切る。逆転勝ちを収めた綾羽が準決勝進出を決めた。
この日の野川は3回を投げて、1安打2四死球2奪三振で無失点。昨春の県大会では2年生ながら141キロをマークしてブレークしたが、夏の大会前に腰椎分離症になり、秋までは本来の実力を発揮できないでいた。そこで冬場は投球練習を封印して筋力アップとフォーム改善に専念。それが功を奏して、今春に輝きを取り戻した。
今大会の活躍で、プロからの注目度が上がることも十分に考えられる。「春と夏の結果次第で可能性があるならプロ野球選手になりたいと思っています」と意欲を示しており、今後の成長が楽しみだ。
(取材=馬場 遼)