試合レポート

愛知産大三河vs幸田

2023.03.28

歯がゆい展開ながら、愛知産大三河が何とか幸田を振り切り2次トーナメント進出

愛知産大三河vs幸田 | 高校野球ドットコム
愛産大三河・朝鍋壱咲君

<春季愛知高校野球大会西三河地区予選:愛知産大三河2-0幸田>◇27日◇敗者復活3回戦◇刈谷

 前の1次トーナメント3回戦の杜若との試合では、途中から雨脚が強くなってきたというコンディションの悪さもあったかもしれないが、3押し出しや暴投などで不本意な戦いで敗れてしまった愛知産大三河。「もう、これで負けられん戦いになった。引き締めていって立て直さんといかん」と言っていた櫻井春生監督。果たして、どこまでチームとして選手たちの気持ちも作り直してこられたかというところも見どころだった。

 幸田は1次トーナメントでは初戦で刈谷に敗れたものの、敗者戦に回って豊田大谷、安城東といったところを倒してきている。昨年秋も全三河大会を制するなど強豪の愛知産大三河に対して、果たしてどんな戦いができるのか、自分たちの力も試してみたいというところであろうか。

 愛知産大三河は朝鍋投手、幸田は柴田投手と両背番号1の先発となった。序盤は投手戦の様相で進んでいく。

 3回、愛知産大三河は1死から1番荒木がバント安打すると、続く後藤、富田のバントもいずれも安打となって1死満塁。ここで、4番石原が三遊間に転がして、1点を先取する。しかし、なおも畳みかけられるところだったが、後続は倒れた。幸田の柴田投手がよく踏ん張って堪えたともいえよう。

 4回の愛知産大三河は失策で出た走者の後、安打などで1死満塁となったが、スクイズ失敗で2死。それでも、野選で1点が追加される。愛知産大三河としては、歯がゆいといえば歯がゆい展開ではあるものの、朝鍋投手が制球よくテンポのいい投球でしっかりと抑えていた。

 幸田は、投手と右翼手を3度入れ替えて、何とか相手の目先を迷わせようとしていたが、案外、それもうまくハマっていたようで、柴田投手も左腕の大須賀投手も崩れそうで崩れないで踏ん張っていた。それが、こうしたロースコアの競り合いになっていく要素にもなっていた。

 幸田にとって一番の得点機は8回。先頭の稲石が中堅の頭上を越える三塁打を放って無死三塁。2点差だけに、どう転ぶかわからないぞという雰囲気もあったが、続く林の打球は左翼への飛球。三走はタッチアップで本塁を狙ったが、投手もできる冨田左翼手から好中継プレー。7ー5ー2とつないで本塁タッチアウトとして愛知産大三河は事なきを得た。

 結局、愛知産大三河は2点を守って逃げ切ったという形になった。朝鍋投手が踏ん張ったといえばそういう見方もできるのだが、櫻井監督としては不満の方が多い展開だったようだ。

 「去年、新チームとしてスタートした時は、みんながむしゃらで一生懸命にやっていて、それが結果ももたらしていたと思うんですよ。だけど、全三河大会で優勝したりしたことで、自分たちはやれるぞということが、自信から慢心みたいになってしまって…。それは違うぞということを何度も言っていったんですが、そうしたら今度は過緊張というか、指示を出しても聞いているのかいないのか、違うことをやってしまったりということで、こっちもビックリしますよ」と、選手たちのメンタル部分の指導について、いくらか苦労しているようでもあった。2次トーナメント進出となったが、負けられない状況は変わらない。

 それでも、「今までも、もう負けられない状況で県大会進出した時の方が、上の方へ行ったということがありますからね」と、プラス思考で捉えている。一つひとつを積み上げながら、チームを成長させていくというのも、愛知産大三河のパターンでもある。

 幸田としては、強豪に対して食い下がっていったということは、確実に自信になっていくといっていいであろう。春季県大会への進出はならなかったけれども、投手がある程度しっかりし投げて試合を作っていかれるだけに、夏へ向けての課題としては、どうやって好機に点を取っていかれるのかというところになっていくのではないだろうか。西三河勢は、公立校の指導者たちが情報交換しながら切磋琢磨していっているので、夏へ向けて大きく成長していく可能性も十分にある。その期待値も高いチームといっていいであろう。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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