都立片倉vs都立府中東
本大会進出を決めている都立片倉は、順調な仕上がりぶりを示し都立府中東に大勝
独特のフォームから好打を放っていた片倉・松苗君
<交流試合:都立片倉15-2都立府中東>◇5日◇片倉高校グラウンド
今年は例年より早く、この週末の4日から高校野球の対外試合は解禁となった。東京都では、早くも来週の土日からは、1次ブロック予選が始まる。会場校となっているところでは、その運営準備もしっかりとしておかないといけない。昨秋の本大会出場で、この春も都大会進出を決めている都立片倉も、会場校でもあり、来週土曜日には大会も始まる。だから、こうして練習試合を行いながら、試合に対する運営の予行演習もしておく必要があるのだ。ことに、選手紹介をする女子マネージャーたちはその実戦練習にも余念がない。会場校を務めるということは、こうした、様々な学習機会があるということでもある。
チームとしては、まだ4月1日の都大会まで多少時間のある都立片倉だが、「左でまともに投げられる投手がいないから、左投手に対しては、ほとんど打撃練習ができていない状態で不安はあった。だけど、今日は相手が2人投手がいると聞いて、どれだけ打てるのかなあと思っていたけれども、思った以上に打てた」と、宮本秀樹監督が言うように、都立片倉打線は都立府中東の鈴木 力地投手と7回から投げた齋藤 智希投手を打ち込んだ。コースが少しでも甘いと、しっかりと捉えていく打線の力強さは光った。
初回は4番上野 晴斗の二塁打で先制し、2回には「実はチームではもっとも打てる打者だけれども、2番に置いている」という湯地 詠斗が右翼ポールを巻いていくような2ランを放つ。5回にも打者一巡で5点を奪う。
それでも、鈴木投手も3回、4回はしっかりと3人で抑えるなど立て直してきた。投手としても、制球は悪くないので四球で走者をためていくということはなかった。ただ、少しでも甘く入ってくると、スイングも鋭くしっかりととらえてくる都立片倉の各打者は容赦しないという感じで振ってきた。それが、結果としてこういうスコアになったといっていいであろう。
宮本監督は、「今年のチームはスタートした時は、これまでになくチームの核もないし、今までで一番弱いんじゃないかと思ったんだけれどもねえ。投手も予定していた柱がケガしたりして、どうなっていくのかなあと思ったんだけれどもね。だけど、やっているうちに、それぞれが役割を見出してやっていってくれていて、(都立片倉)らしいチームになってきたんじゃないかなと思っていますよ」と、ここへきてチームとしてのまとまりも出てきたことも喜んでいた。
新入生が入ってくる前の今の段階では、選手10人とマネージャー2人という陣容の都立府中東。絶対的な層の薄さは否めない。ケガ人でもあろうものなら、試合そのものが成立しなくなっていく可能性だってあるというぎりぎりの状況の中で何とかやっているというのが正直なところだ。
だけど、そんな中で、鈴木投手と小林 大輝捕手のバッテリーがしっかりとしているということで、チームはある程度の試合を作っていける状況である。組み合わせの都合で2回戦が代表決定戦となるが、まずは19日のその試合を何とか勝って本大会へ進出したいところであろう。日程的には、もう少し時間があるので、この日の反省点も踏まえてチームをもう一つランクアップしていきたいところだ。
(取材=手束 仁)