都立葛飾野vs都立小山台vs都立新宿
小山台、葛飾野、新宿の都立3校が今シーズン初の対外試合 小山台が2連勝飾る!
同点を呼び込む安打を放った小山台・岩永君
<交流試合:都立小山台5ー2都立葛飾野、都立小山台13ー4都立新宿>◇4日◇葛飾野グラウンド
今年は、カレンダーの都合もあってか、例年より早い高校野球の対外試合の開催となった。東京都大会の1次ブロック予選が3月2週目の週末から始まるということもあって、第1週の土日からの解禁となった。
2014年の第86回センバツ大会に21世紀枠代表として甲子園初出場を果たしている都立小山台。当時の指導スタッフには異動もあった。副部長としてチームを支えていたのが、現在は都立葛飾野の才野秀樹監督である。また、甲子園で試合前のシートノックも打った田久保裕之コーチは母校都立新宿の監督となっている。そして、都立小山台は福嶋正信監督がその後も指揮を執り続けている。
その3校の指導者たちが、都立葛飾野に集まっての交流試合となった。いわば「小山台センバツ出場スタッフメモリアル交流戦」である。この日は、都立新宿が午後からしか来られないということで、正午から2試合のみが組まれる形となった。
この日はどのチームもシーズンインの最初の試合ということになるが、昨秋の1次予選ではいずれも初戦敗退している。都立小山台は東海大高輪台に1対4、都立葛飾野は聖パウロ学園に2対4と私学の強豪に競り合いながらも敗れている。来週にはもう、1次ブロック予選を戦わなくてはならないため、早い段階での調整、チームの仕上げは必要となってくる。
また、都立新宿も昨秋は1次予選初戦で府中工に1対7で敗れている。その後、イチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が指導に訪れたりということでスポーツ新聞などでも大きく取り上げられて話題にもなった。いずれにしても、直近で公式戦を控えているだけに、チームの仕上がりも気になるところであろう。
都立葛飾野の先発明石 柚希投手は右横手からのキレのいいスライダーが武器で、なかなか評判の好投手でもある。才野監督も、「明石は試合を作れる投手なので、ある程度投げてくれるだろうという期待はある」と、このチームの柱であることを明言している。球を左右に散らしながら、右打者の懐にグイっと食い込んでくるような球も威力がある。中軸を含めてスイングの強い都立小山台の各打者も、そう簡単には打ち崩せないかなという感じでもあった。それでも、1点リードされた2回には相手の送球失策や7番安藤 大作捕手の適時打などで逆転した。
同点とされた5回にもその直後、2死三塁から加賀谷 京介、松崎 隆也の連続二塁打などで2点を加えて再びリード。8回にも、安打の松崎が相手の失策から生還。やはり、勝負強いなという印象を受けた。
都立小山台の投手陣について、福嶋監督は、「今のところは、ダブルエースみたいな感じですよ。まあ、すごい力があるというわけではないですけれどもね(苦笑い)」ということだったが、武藤 健真投手も、熊谷 朋紀投手も、しっかりとまとまっているという印象で、ともに4イニングずつを投げて1失点。無難にまとめた。
今季最初の試合ということになったが、とんでもないボーンヘッドもなく、引き締まった感じで緊張感のあるいい試合だった。こういう試合ができるということは、冬の間にきっちりと練習を積んできていたということの証明でもあろう。
都立新宿は、1番打者の清水 大賀外野手が注目されている。182センチ、78キロと体格にも恵まれている。田久保監督も、「ウチの中では足もあるし、打撃としてもいい選手といっていいとは思います」という。実は、中学も田久保監督と同じで後輩になるという。そんな縁もあるが、「上(大学)で野球を続けてほしい」という思いも強いようだ。また、それだけの素材であるということをこの日の3回の中越え二塁打と5回の中前適時打でも証明して見せた。それに、外野手としての打球の追い方も、真正面の頭上という難しい打球に関しても、いい形で追っていく姿勢を示していて、見ていて「カッコイイ選手」という印象でもあった。
ただ、試合としては都立新宿はいい雰囲気で投げていた加藤 康祐投手が中盤につかまり、失策もあって崩れていってしまったのが課題であろう。
一方、都立小山台はそうしたミスに乗じていきチャンスを広げて、適時打一本が出ていくという形で得点を重ねていく。また、控え陣の層も厚いなという印象も与えてくれていた。今、都立小山台は都立高の中では最も分厚い戦力を有しているといっていいであろう。
いずれにしても、この春は3校とも何としても勝ち上がって本大会へ進出したいところであろう。そのためにも大事なこれからの1週間ということになる。
(取材=手束 仁)