帝京vs都立片倉
帝京147キロ右腕が6回9Kの快投 磨き上げた変化球が光る
帝京先発・高橋 蒼人
<秋季高校野球東京都大会:帝京7-0都立片倉>◇16日◇2回戦◇八王子
夏4強の帝京が7回コールドで都立片倉を下して、3回戦へ進んだ。
1年生からエースナンバーを背負ってきた高橋 蒼人投手(2年)は今大会でも注目右腕だが、その評判にたがわぬ快投。6回を投げて9奪三振、無四死球と、強打の都立片倉に切れ味鋭いスライダーを軸にホームを踏ませなかった。
夏の東東京大会ではスケールアップした直球で打者を圧倒していた高橋だが、夏の大会で二松学舎大附に準決勝で敗れたことがきっかけで、変化球を自らの課題として掲げていた。
「あの試合ではストレートに張られて、きっちり打ち返されました。あれくらいのレベルになってくると、ストレートだけでは通じないことがわかったので、ストレートを生かすためにも変化球を課題に取り組んできました」
夏の猛暑でも長いイニングを投げ切る体力を作るため、走り込みを通じて下半身強化を徹底したのはもちろん、「コントロール向上も兼ねて取り組んだ」という100球の投げ込みで、コントロールと同時にスタミナ強化を図った。そのときに疲れて自然と力が抜けた状態で投げる変化球のリリースの感覚を覚え、磨きをかけてきた。
この試合でも「変化球でカウントが取れた」というように、切れ味抜群のスライダーを軸に都立片倉の勢いを止めた。直球に似た軌道から鋭く曲がって、相手打線が捉えるのに苦労していた。
「ストレートが甘くても前に打ち返されることが少なかった」と、最速147キロの直球が、より生きてきていることを実感。ヒット4本だけと危なげない投球で、打線に勢いをつけるエースの仕事を果たした。
(記事=田中 裕毅)
帝京打線は今年も強力 伸びしろ満載の好打者揃い
帝京2番・川本 虎太朗
<秋季高校野球東京都大会:帝京7-0都立片倉>◇16日◇2回戦◇八王子
一方の打線は、6回10安打7得点。相手の守備の乱れから得点を積み重ねたところもあったが、各打者が鋭い打球をはじき返した。特に2巡目に入ってからは打線が機能し、3回には1番・西崎 桔平内野手(1年)、2番・川本 虎太朗内野手(2年)の連続適時打で2点を先制した。
夏の大会では投手としてマウンドに登っていた西崎が遊撃手のスタメンとして出場。守備には課題を残したが、バッティングではテークバックを引くことなくシンプルな構えから、ヘッドを走らせながらミートポイントまでバットを振り抜き、快音を響かせた。懐が深く、呼び込んでタイミングを取っても、鋭いスイングでしっかり捉えることができていた。金田監督も「本来は安定した守備をしていますし、外せない選手です」とスタメンで出場させたい大事な戦力だと話す。
2番・川本も手元にポイントを寄せ、見極めがきちんとできているだけではなく、振りだしてからの回転が鋭く、上手に腕を畳んで打つことができ、差し込まれることなくヒットを記録していた。
下位打線でも、この試合で3安打を記録した6番・大石 和輝外野手(2年)は、金田監督も「調子が良い」と太鼓判を押す勢いに乗っている選手。捉えてから大きなフォロースルーで鋭い打球を飛ばした。トップに入った際の構えにも無駄が少なく、反動が少ない打ち方になっているのも魅力だ。
長打が飛び出すような重量打線というよりは、野手の間を切り裂くような中距離砲が多い印象を受ける帝京。金田監督は、「まだ完成しているわけではなく、1週間ごとに成長をしている」と伸びしろが多いことにやりがいと楽しみを持っている。
3回戦の相手は國學院久我山だ。エース・高橋は「コントロール、キレ、全部の課題を引き上げたい」と更なる成長を誓った。高橋をはじめ、さらに強くなる帝京の3回戦も注目だ。
(記事=田中 裕毅)