日大三vs豊島学院
日大三が攻守に圧倒、豊島学院にコールド勝ち
6回を1失点で投げ切った、日大三・安田君
<秋季高校野球東京都大会:日大三11-1豊島学院>◇10日◇1回戦◇スリーボンドスタジアム八王子
この夏の西東京大会優勝校、日大三の登場である。甲子園では聖光学院(福島)に競り負けてしまったが、この秋は都立富士森を6対2で下しての本大会進出だ。前チームは、ほとんど3年生で戦ったので、メンバーはがらりと入れ替わっている。そんな中で、甲子園でも1.1回を投げた安田 虎汰郎投手(2年)がエース番号を背負い、甲子園で代打で途中出場して2安打した二宮 士内野手(2年)が主将で3番を打つなど、この2人がチームの核となっている。
その日大三に挑む豊島学院は、秋の1次ブロック予選では成立学園と山崎にいずれもコールド勝ちして進出してきた。それだけに、「ある程度は行けるぞ」という感触もあったのではないだろうか。夏は東東京大会で何度かの雨天中止を経た後に、初戦敗退しているだけに、新たな気持ちでのスタートの新チームである。
この日は、天気予報では前夜の雨が午前中まで残りそうだというような予報が出されていたので、試合開始が遅れるのではないかと懸念していたが、予定通りのプレーボールとなった。
豊島学院は初回、先頭の石崎 敬外野手(2年)が四球を選び、盗塁と内野ゴロで三塁まで進んだが得点にはならなかった。
そしてその裏、日大三は1死から古賀 也真人内野手(2年)の安打と、連続四球などで2死満塁とすると、針金 侑良外野手(2年)が死球で押し出しとなり先制。続く髙村 大輔外野手(2年)が中前へはじき返して、さらに2者がかえってこの回3点を入れた。
3回にも日大三は高村の中犠飛で追加点を挙げる。
そして4回、相手失策と3連続四死球などもあって追加点を挙げて、なおも2死満塁という場面で、またしても高村が、今度は左翼線へ走者一掃の二塁打を放った。高村はこの日は、3打数2安打1犠飛の打点6という大活躍だった。
日大三は5回、6回にも追加点を挙げて10点差でコールドゲームとした。
先発した安田は、「立ち上がりは、あまりよくないということは自分でもわかっているので、これはこれからの課題としている」ということだったが、それでも「投げ込んでいくうちに腕が振れるようになって良くなっていく」と自己分析していた。その言葉通りに4回に1点は失ったものの5回、6回はピシャリと3人ずつで抑えていた。
結果的には、力の差を見せつけたという形になった日大三だったが、小倉全由監督は、「去年のチームの今頃よりも、今年のチームの方が打力はあると思っているので、本当は、もっと打ってほしかったんだけれどもね(苦笑い)。もう一つ打線としては繋がりませんでした」と、満足はしていなかった。
豊島学院の佐久間 一樹監督は、「もっと体力とパワーをつけていかないと通用しませんね。先発投手の井上は、心のスタミナがありませんでした。力の差でした」と完敗を認めていた。練習環境としては、学校から1時間半ほど離れた埼玉県の坂戸市にグラウンドがあり、系列校の昭和鉄道と交互に使用している。日々の練習では日曜日しか自校のグラウンドでの練習はできないという状況で、あとは校舎横の空き地などでの練習だという。それでも、少しでも上を目指していこうという姿勢で現在27人の部員がひたむきに取り組んでいる。これもまた、高校野球の一つの形と言っていいであろう。
(記事=手束 仁)