試合レポート

都立日野vs駒場学園

2022.10.09

日野がシーソーゲームの末、延長10回で駒場学園にサヨナラ勝ち

都立日野vs駒場学園 | 高校野球ドットコム
延長10回を完投した日野・池内君

<秋季高校野球東京都大会:都立日野6-5(延長10回サヨナラ)>◇8日◇1回戦◇多摩一本杉

 1次ブロック予選を勝ち上がった64校が出場する秋季東京都大会が始まった。多摩一本杉球場の1試合目は、都立の有力校日野と私学中堅校の駒場学園との対戦となった。都立日野は、この夏は1回戦で強豪創価と当たり、競り合ったものの初戦敗退して悔しい思いをした。それだけに、この秋は上位に残り、改めて「強い都立日野」を示したいところでもあろう。

 駒場学園は、夏は3つ勝って4回戦に進出して、準優勝した東海大菅生に敗れたものの、それなりのインパクトは残した。そのチームから、がらりとメンバーが入れ替わった新チームだ。この秋は、会場校の桐朋を下しての本大会進出である。

 試合開始は、前日の雨の影響でグラウンド整備の時間がかかり少しだけ遅れた。そして、両チームとも、サイドノックのみでの試合開始ということになった。

 激しい展開の点の取り合いだったが、延長にもつれ込んだ末に、都立日野が最後はサヨナラ勝ちした。

 まさにシーソーゲームの展開だった。2回、都立日野が3安打を集中して9番・池内英人投手(2年)自らの安打で先制。しかし、駒場学園は3回2安打と相手バント処理ミスなどで無死満塁とした場面で、木村泰雄監督が、「チームで一番信頼している打者」という高井朝陽外野手(2年)が一、二塁間を破って2者をかえして逆転した。

 その裏、都立日野は失策と内野安打でチャンスメークすると、5番・高山諄平内野手(2年)の右前打で同点。なおも1死一、二塁で上野康河内野手(2年)が左越え二塁打を放って2人をかえして都立日野が逆転して2点をリードした。

 リードされた駒場学園も直後の4回、4番・織田優汰内野手(2年)のややラッキーな二塁打と6番・横井将人内野手(1年)の内野安打で1点差とする。そして、6回には1死二塁から、またも横井の安打で同点とすると、さらにバントで進めて2死二塁から8番・奥山佳悟外野手(2年)が光明に三塁線にバントをすると、これが悪送球を誘って再逆転となる走者がかえった。

 これで流れは駒場学園に傾いていったかなという感じだった。都立日野も5回から7回までは、3人ずつで尾下大将投手(2年)に抑えられていた。

 こうして迎えた8回、都立日野が2死一、二塁という形を作ったところで、嶋田雅之監督も、ここが勝負どころとみて代打・池島悠空内野手(1年)を送り出す。「本来は5番を打てるくらいの力はある」という期待の代打は、起用に応えて、詰まりながらも右前に落として同点打となった。

 同点とされた駒場学園は9回、失策と、1番・高井の左前打で無死一、二塁。絶好のチャンスとなったが、前田春内野手(2年)のバントは小飛球となって、これを都立日野の上野三塁手がダイビングで捕球し、飛び出していた二塁走者も刺して併殺。都立日野は大ピンチを逃れた。駒場学園としては、ここまで無死からの走者については確実に送りバントを決めて進めていたのだが、この場面で痛い失敗となった。

 こうして延長に入っていくが10回、駒場学園は簡単に3人で終え、その裏、先ほどの好守のあった上野が中前打で出ると内野ゴロで二塁へ進む。1死二塁という場面で、8回に代打で出て、そのまま一塁に入っていた池島が「池内が頑張って投げていたので何とかしたいと思っていた。真っ直ぐ1本だけに絞って狙っていた」という一打が三塁線を破って、二塁走者がかえって都立日野のサヨナラ勝ちとなった。

 嶋田監督は、「ケガ人も何人かいて万全ではない中で、ブロック予選でも打てなくて苦戦しました。今日は打撃優先でメンバーを決めたけれども、結果的には何とか勝てて良かった」と安堵していた。

 駒場学園の木村監督は、「お互いエース同士の投げ合いになったので、代えるつもりはなかった。延長に入ってからは、1イニングずつの勝負でタイブレークのことなんかも考えてはいなかったけれども…。及ばなかったですね。5点から6点の勝負になるかなとは思っていたのですが、6点目が取れませんでした」と、あと1点追いつけなかったことを残念がっていた。

(記事=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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