試合レポート

下妻一vs水戸葵陵

2022.09.25

下妻一、リードを許した8回、すぐ裏に2ランで鮮やかな逆転

下妻一vs水戸葵陵 | 高校野球ドットコム
最後まで粘り強く投げた下妻一・堀越君

<第75回秋季関東地区高校野球茨城県大会:下妻一3-2水戸葵陵>◇25日◇2回戦◇J:COMスタジアム土浦

 台風の影響で当初の日程が変更になってしまった茨城県大会だが、この日は天候も回復して予定していた試合が行われた。

 今大会シード校として迎える下妻一は、初戦で水戸葵陵と対戦することとなった。ただ、下妻一は大会直前に何人かがコロナに見舞われ、選手の入れ替えを余儀なくされてしまった。それでも、選手たちが、精いっぱい自分たちの力を出して食い下がり、試合も粘りを見せた。終盤の8回、リードされた直後に劇的な2ランで逆転という形で勝利した。

 靍見和輝監督も、「大変なゲームになるなとは思っていたのですけれども、(コロナによる欠場で、何人かを入れ替えていかざるを得ない)こんな状況でしたが、それでも粘り強くチャレンジしていくという気持ちを示して、本当によく頑張ったと思う」と称えていた。

 1回から3回まではお互いに走者は出すものの得点にはならないという状態が続いた。ことに水戸葵陵は初回、2回と先頭を出しながらも、いずれも左腕堀越の巧みなけん制に刺されていた。それでも4回、この回も先頭の3番阿部が四球で出ると、続く黒羽の右前打で一、二塁。5番森の送りバントは空振りとなってしまったが、その球がショートバウンドとなり走者は二、三塁へ進み、結果としては送ったことと同じ形になった。ここで、6番高瀬のスクイズが決まり(記録は内野安打)水戸葵陵は先制する。

 追いかける形になった下妻一は4、5回は3人で抑えられていたが6回、先頭の2番小野が中越え二塁打。投ゴロで三塁へ進むと、4番高嶋の内野ゴロの間に生還。何とか同点に追いついた。

 こうして勝負は終盤勝負という形になっていった。8回、水戸葵陵は四球と内野安打、バントで1死二、三塁とする。ここで、下妻一ベンチは2死となってから4番黒羽に対して申告故意四球。満塁としたが、ここで一塁への牽制球が落球となって、その間に三塁走者が生還。水戸葵陵は、労せずして勝ち越し点を得たという形になった。それでも、下妻一の堀越はその後を何とか抑えてその裏の攻撃に期待を寄せた。

 その裏の下妻一、1死後3番大嶋が右前打で出ると、続く高嶋は、「とにかくくらいついて行くことしか考えていなかった」と内角直球に合わせて振った一打は、「打った瞬間いい当たりだと思ったので外野を越えるかなとは思った」という打球だったが、そのまま左翼芝生席に突き刺さる逆転の2ランとなった。高嶋としては、公式戦初めての本塁打ということだった。

 そして、9回も堀越が四球こそ1つ与えたもののしっかりと投げ切って、下妻一は苦しい中で何とか初戦突破を果たした。堀越は、「自分たちは、チャレンジしていくというつもりなので、8回ミスで1点リードされたけれども、焦ることはなかった」と、気持ちもブレていなかったようだ。

 靍見監督も、「目標としている関東大会に、何とか進出したい」と、思いを口にしていた。

 まさかの1球で手元にあった勝利を逃してしまった水戸葵陵。金崎裕哉監督としても、まさに「1球に泣かされた」という思いだったのではないだろうか。

(取材=手束 仁

この記事の執筆者: 高校野球ドットコム編集部

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