仙台東vs仙台高専名取
元プロ野球選手を父に持つエース・有銘が粘りの1失点完投勝利!仙台東が2回戦突破
完投勝利を挙げた仙台東・有銘孝太朗
<第75回秋季東北地区高校野球宮城県大会:仙台東6-1仙台高専名取>◇17日◇2回戦◇鹿島台中央
楽天などで投手として活躍した有銘兼久氏を父に持つエース・有銘孝太朗投手(2年)を擁する仙台東は、実力校・東北学院榴ケ岡を破り勝ち上がってきた仙台高専名取と対戦。序盤から打線が機能すると、有銘が4回無失点に抑えた1回戦に続いて好投し、快勝で駒を進めた。
初回、1回戦で12得点した仙台東打線が仙台高専名取先発・今野櫂人投手(1年)に襲いかかる。先頭の野村亮佑外野手(2年)が三塁打で出塁すると、2番・大洞晶平内野手(2年)の中前適時打で先制。その後も4番・菊地颯捕手(2年)、7番・後藤翔斗外野手(2年)が適時打を放ち、いきなり3点を奪った。2回から4回は無得点に終わったが、5回に菊地椋太内野手(2年)に適時打が飛び出し1点を追加。その後も7、8回に1点ずつを奪い、点差を広げた。
一方の先発・有銘は初回をわずか9球で三者凡退に抑えると、4回まで走者を一人も出さない完璧な投球を披露した。5回は2死満塁のピンチをゼロで切り抜け、6回に迎えた1死満塁の場面でも相手の5番・遠藤耀希外野手(2年)を併殺打に打ち取り無失点。中盤では粘り強さを発揮した。最終回に味方のミスが絡み1点を失ったものの投げきり、公式戦初完投勝利を挙げた。
父の兼久氏はよく観戦に訪れるといい、今大会前には「速球があるわけではないから、球を動かして打たせて取るピッチングをするといい」とアドバイスを受けた。直球の最速は130キロに満たないものの、カーブやツーシームなどの変化球を織り交ぜつつ低めに集める丁寧な投球で、相手打線を翻弄。奪三振は1でゴロアウトが14と、まさに父の言葉通りの快投だった。
仙台東は、3回戦では夏ベスト4入りした仙台南と対戦する。今大会も1回戦では仙台城南相手にサヨナラ勝ちを収めており、勢いに乗るチームだ。仙台市内の公立校同士で、芳賀崇監督は「近年は勉強でも野球でも勝てていない」と謙遜するが、次戦は全力で勝ちをつかみにいく。
仙台高専名取は投打がかみ合わずここで敗退となったが、1回戦で東北学院榴ケ岡から挙げた1勝は大きな収穫。柳生穂高監督は「強いチームに勝てる力があると分かった一方、打てなければ負けるということも味わった。いい勝ち方といい負け方ができた」と前を向いていた。
(取材=川浪 康太郎)