前原vs小禄
1年生大会、新人大会と実績を積んできた前原が貫禄勝ち
前原・池原 琥介投手
<第151回九州地区高校野球沖縄県秋季大会:前原3-1小禄>◇9日◇1回戦◇アグレスタジアム北谷
1年生中央大会ベスト4、新人中央大会ベスト8と実績を積んできた前原の2年生たちが、粘る小禄を突き放して勝利。完投したサイドハンドの池原琥介は、小禄打線に2ケタ安打を許すも、要所を抑え最少失点で凌ぐ見事なピッチングを見せてくれた。
力ある西尾が値千金の逆転打
先制したのは小禄。2回、5番金城 詠が右前安打で出塁すると犠打で二塁へ進める。7番瀧石 悠も右前へ運ぶと、久貝 優哉もライトへ持っていき1点。逆らわず右方向へ持っていく見事な先制点であった。なおも一、二塁とする小禄だったが、ここは前原・池原 琥介が踏ん張り、送りバントを三塁で封殺するなど最少失点で凌いだのが大きかった。小禄は4回にも、ヒットと池原琥介の牽制悪送球で2死ながら三塁とチャンスをつかむ。四球で1番に回したものの、ここも池原琥介がギアを上げ捕手への邪飛に仕留めた。
追う前原は4回、池原 琥介が内野安打で出塁。犠打で送ったのち6番金城 晃志がヒットで繋ぎ、続く西尾 夢弥が左翼手の頭を越える値千金の逆転適時二塁打。込み上げる気持ちを拳に変えて天に突き上げた西尾 夢弥。1年生中央大会ではトップバッターを務めた実力のある男が見せた勝負強さだった。
11安打を浴びるも1失点完投
前原は6回、再び金城 晃志、西尾 夢弥に連打が生まれる。挟殺プレーで刺されてしまったが、後続が四球と安打で満塁として1番久高 將が犠牲フライを上げ欲しかった追加点を奪った。「前のチームと比べるのは酷だけど、やはり打線の力は劣る」と東亮監督。前年秋、49年ぶりの決勝進出を果たした先輩たちに続くには、全員でカバーし合って行かねばならない。誰かのミスを誰かが帳消しにする。この団結力だけは劣っていないとナインが自負しているからこそ、この日の、下位打線の粘りがより光っていた。
池原 琥介は3回以降も小禄打線に走者を許す苦しい展開だが、本人にとってはこれが当たり前。結局、小禄打線に11安打を許したが、何本打たれようがホームに返さなければいいとばかりに淡々と投げ続け、気が付いたら2回に失った1点のみ。与えた四球が1つだけと、余計な流れを小禄に渡さなかったのも良かった。「アンダーハンドの宮城海皇にも準備はさせてましたが、池原の球数も思ったより少なく、最後まで投げさせた」と、東亮監督も満足の、新エースの奮投であった。
(文=當山 雅通)